寺田心、『らんまん』でネクストブレイク必至? 『おちょやん』『エール』弟子たちの飛躍
研究の基盤を失い、大切な娘を失い、実家を失い、マキシモヴィッチ博士という頼みの綱も失った。これまで、どちらかといえば順風満帆な人生を送ってきた万太郎(神木隆之介)は物語の中盤で深い悲しみを背負うこととなる。
連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)では、ここから最終回にかけて植物学者・万太郎の再起が描かれていくことだろう。いつか天国で再会する愛娘・園子が喜んでくれるような図鑑を作りたい。万太郎はそのために、どこにも属さず一人で研究を続けていくことを決意する。早くも再起への一歩を踏み出した彼が植物採集中に高知の山で出会うのが、虎鉄(寺田心)だ。虎鉄は高知の遍路宿「角屋」の息子。のちに植物学に興味を持つという役どころで、万太郎とは師匠と弟子のような関係になっていくと見られる。
毎朝15分の積み重ねで、主人公の長い人生、あるいは半生を描く朝ドラ。その終盤で避けては通れない一つのテーマが、子供から大人への成長だ。守られる側から守る側へ、教えられる側から教える側へと立場が移り変わり、主人公は受けた恩を社会に返すこととなる。それには、弟子のような存在が不可欠。朝ドラでは、その配役にネクストブレイク候補があてがわれる傾向にある。
例えば、『エール』第65話より登場した五郎役の岡部大。お笑いトリオ「ハナコ」のボケを担当する岡部はこのドラマが俳優デビュー作となった。五郎は茨城県から上京し、作曲家である主人公・裕一(窪田正孝)に弟子入りを志願する無骨な男性。残念ながらその才能が開花することはなかったが、不器用で一生懸命な姿が視聴者から好感を得た。また、五郎は共に裕一の家に居候していた妹の梅(森七菜)とのちに結ばれる。観ている側がもどかしさを覚えるほどの純愛を体現した岡部はその後、TBS日曜劇場『アトムの童』やNHK大河ドラマ『どうする家康』をはじめとしたドラマに引っ張りだことなった。
ハナコ 岡部大、『エール』“五郎さん”にハマりすぎ! “純愛”の体現者として欠かせない存在に?
9月14日より連続テレビ小説『エール』(NHK総合)が再開した。第1話から再放送されていたとはいえ、すっかり内容を忘れている人も…
『スカーレット』第81話より登場した三津役の黒島結菜も印象深い。ヒロインの喜美子(戸田恵梨香)と夫の八郎(松下洸平)が立ち上げた「かわはら工房」に弟子入りした三津は、結果的に二人の関係に波風を立てる存在となった。しかしながら、彼女には喜美子が「陶芸は男社会だから」という理由で内定取り消しにあったように、女性であるというただそれだけの理由で何度も弟子入りを断られてきたという背景がある。快活で物怖じしない姿勢も少女時代の喜美子と重なる部分があった。だが、三津は八郎のことを好きになってしまい、気持ちを断ち切るために工房を去る。ヒッピースタイルの個性溢れるキャラでありながら、その内面にある切なさを表出させた黒島は同じく朝ドラの『ちむどんどん』でヒロイン役を務めることとなった。