『ミッション:インポッシブル』新作、初動10億超の好スタート 見え隠れするストの影響

『M:I』新作、初動10億超の好スタート

 夏休み興行も本番。先週末の動員ランキングは『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』が、前週初登場1位の『君たちはどう生きるか』との死闘を制して初登場1位に。オープニング3日間の動員は69万2000人、興収は10億6500万円。この数字は、2018年8月に公開されて最終興収47億2000万円を記録した前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』との興収比で122%、トム・クルーズ主演作品としては前作となる2022年5月に公開されて最終興収135億7200万円を記録した『トップガン マーヴェリック』との興収比では92%という成績だ。

 社会現象化した『トップガン マーヴェリック』の最終興収はあまりにもイレギュラーなものなので参考にならないとしても、この勢いだと前作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』超えは十分に射程圏内。映画興行サイドの立場から言うなら、惜しむらくは公開直前のトム・クルーズのプロモーション来日が、そのほんの数日前に突入した全米俳優組合のストライキの規定によって中止になってしまったことだろう。プロモーション来日の関連露出があったら、少なくとも初動では『トップガン マーヴェリック』と同水準の数字を叩き出したに違いない。

 トム・クルーズは、これまでのシリーズ作同様、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』でも主演だけでなくプロデューサーを務めている。そのような複雑な立場であるトム・クルーズが、俳優組合ストライキに入る前の6月に、SAG-AFTRA(映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合)に対してコロナ禍以降の映画館の窮状を訴え、ストライキ期間中も作品のプロモーション活動を許可してもらえないかとロビイング活動をしていたという事実が、組合の関係者の「(トム・クルーズの提案は)不快だった」というコメントとともにストライキに入ってから報じられた。またその報道を受けて、ストライキに参加中の俳優は「トム・クルーズがストのピケの現場に現れたら、我々からぶん殴られるだろう」と物騒なことまで言っている。(※)

 今回のストライキではハリウッドのメジャースタジオや配信プラットフォームの経営者たちが槍玉に上がっているわけだが、実際に作品に金銭的なリスクを負っているプロデューサーはもちろんのこと、監督、俳優と脚本家以外の膨大な数のスタッフ、そしてさらに膨大な数の映画館などの興行関係者と、映画界も決して一枚岩ではないのだ。結局、プロモーションが中途半端なかたちで中断してしまった『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は、日本でこそ好スタートを切ったが、北米では予測を下回る成績となってしまっている。

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