コン・ユはなぜ年代ごとに人々を魅了し続けるのか? 表現者としての歩みを紐解く
以降、映画『サスペクト 悲しき容疑者』では北朝鮮特殊部隊の元エリート工作員役で凄まじく過酷で目を見張るアクションを見せ、30代でのエポックメイキングな年となる2016年には禁断の愛を描いた映画『男と女』で演技派女優チョン・ドヨンと初のベッドシーンに挑戦、韓国初のゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』では娘を守る覚悟をした父性愛あふれる父親役を披露するなど、ハードアクション、ラブロマンス、パニックスリラーとジャンルレスに大活躍した。
なかでも、コン・ユ演じる高麗時代の英雄キム・シン/不滅の命を生きる「トッケビ」と、キム・ゴウン演じるトッケビの花嫁との時空を超えた切ない運命の恋を描いたドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』はアジアに“トッケビ・シンドローム”を巻き起こし、コン・ユは第53回百想芸術大賞のTVドラマ部門で最優秀演技賞を受賞、彼にこの役を5年間ラブコールし続けてきた同作の脚本家キム・ウンスクは大賞を受賞。死神役のイ・ドンウクや家臣の末裔役のBTOBのユク・ソンジェらとのブロマンス、死神とユ・インナ演じるサニーの恋など見どころしかなく、壮麗なスケール感と映像美も圧巻だ。筆者は同作、そしてコン・ユが契機となり韓国作品に感銘し、実際に韓国へ行きソウルや仁川(インチョン)、坡州(パジュ)ほか「トッケビ」のロケ地を巡って記事を執筆したのだが、現地ではドラマ撮影の奥深さも堪能。同作でコン・ユは、年齢を重ねたからこその包容力や知性を発揮し、その佇まいだけで感情を表現してみせるなど、磨きのかかった姿で30代の代表作を手に入れた。
コン・ユが40代になってから公開された作品では、チョン・ユミと3度目の共演で初の夫婦役となった映画『82年生まれ、キム・ジヨン』で苦悩する夫役を繊細に表現し、パク・ボゴムと共演したSFエンターテインメント映画『SEOBOK/ソボク』では余命宣告を受けた元情報局エージェント役で複雑な心境を体現しながらも大胆なカーアクションも見事で、ペ・ドゥナと共演したNetflixシリーズ『静かなる海』では強い意志で任務を遂行する精鋭部隊の隊長役を全うした。どの年代においても真摯な役作りを心がけ、慎重な作品選びで結果を残し、一流俳優の地位を不動のものにしたコン・ユ。
今後は、『トガニ 幼き瞳の告発』からのファン・ドンヒョク監督との縁で特別出演することになった『イカゲーム』のシーズン2で、赤と青のめんこを差し出し、誰を勝負に誘うのだろうか? そして『私たちのブルース』などのキム・ギュテ監督が演出を、『花郎<ファラン>』の脚本家パク・ウンヨンが脚本を手がける『トランク(原題)』では、コン・ユと同じ事務所のソ・ヒョンジンとふたりの男女の奇妙な結婚にまつわる物語をどのように紡いでいくのか? 同作では過去の出来事により、孤独を抱える音楽プロデューサー役を演じるという、コン・ユ。40代も目覚ましい活躍で私たちの心を奪っていくのだろう。