ヒョンビン、コン・ユ、ソン・ジュンギ 韓ドラ界を賑わせる“逆走ヒット俳優”
“チャート逆走”。昨今、韓国音楽市場を賑わせているキーワードだ。以前リリースした曲が、なにかのきっかけにより再度チャートを上昇していくことを指している。最近では、BTSの「Run BTS」がTikTokでのダンスチャレンジブームをきっかけに逆走を見せた。
本稿では、『愛の不時着』によってこれまで以上に注目度が高まったヒョンビンや、40代で再びブレイクし『イカゲーム』“めんこ男”として特別出演したコン・ユなど、韓ドラ界の“逆走ヒット俳優”をご紹介したい。
『愛の不時着』で第3次ブレイクを果たしたヒョンビン
まずは、日本での第4次韓流ブームを巻き起こした『愛の不時着』のヒョンビンだ。ヒョンビンはこれまで3度のブレイクをしている。第1次ブレイクは、2003年にKBSドラマ『ボディガード』でデビュー後、韓国で“サムスンシンドローム”の社会現象となった『私の名前はキム・サムスン』で一世を風靡した。当時22歳だったヒョンビンは、年下のツンデレ御曹司のヒョン・ジノン役で、次世代韓流スターとしてスターダムにのし上がることになった。
第2次ブレイクは、2010年の『シークレット・ガーデン』で、ここでもツンデレ財閥御曹司役を演じ、ヒョンビンが着用したジャージが流行するなどの旋風を巻き起こした。そして、コロナ禍での巣ごもりにより起こった第4次韓流ブームで、ヒョンビンは逆走俳優として、第3次ブレイクを果たす。これまで韓国ドラマを観ていなかった層が、Netflixで配信された『愛の不時着』や『梨泰院クラス』などで、ヒョンビンやパク・ソジュン、アン・ボヒョンといった韓国俳優を知り、韓ドラの世界にのめり込んでいく“韓ドラ沼民”を大量発生させた。推し活も人気となり、日本では「愛の不時着展」や「愛の不時着 オリジナルコンサート」なども開催された。今でもヒョンビンが演じた役である、リ・ジョンヒョクに心を奪われ深い沼にいる人も多い。ヒロインのソン・イェジンと結婚し、“ビンジンカップル”として、世界中の注目を集めている。ヒョンビンの今後の活躍が楽しみなところだ。
『イカゲーム』で強烈なインパクトを残したコン・ユ
続いて、『イカゲーム』で強烈なインパクトの“めんこ男”として、韓ドラ界を逆走したのが、コン・ユだ。2001年『学校4』で俳優デビュー後、2007年『コーヒープリンス1号店』が大ヒットとなり、MBC演技大賞優秀賞を受賞、第1次ブレイクを果たす。日本では第2次韓流ブームの名作の中に数えられる作品となり、コン・ユ旋風が巻き起こり一躍スターダムに躍り出る。そして、第2次コン・ユブレイク期となったのが、“伝説の1年”となる2016年だ。映画『男と女』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『密偵』と立て続けに作品が公開され、その年の12月にドラマカムバック作の『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(以下、『トッケビ』)が公開された。『トッケビ』は、韓国ドラマ史上、空前の世界的大ヒットとなり、コン・ユはこの作品で、第53回百想芸術大賞TV部門男性最優秀演技賞を受賞する。そして、2021年にドラマ『イカゲーム』『静かなる海』、パク・ボゴムと共演した話題映画『SEOBOK/ソボク』で韓ドラ界を見事に逆走、三度のブレイクとなった。
『ヴィンチェンツォ』ブームを巻き起こしたソン・ジュンギ
続いて、『財閥家の末息子』が世界的人気のソン・ジュンギの逆走を紹介したい。デビュー前から、ファンカフェがあったほどの人気だったソン・ジュンギ。成均館大学在学中の2008年に映画『霜花店 運命、その愛』で俳優デビューを果たした後、第1次ブレイクとなる、『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010年)の妖艶なク・ヨンハ役で人気を博し、KBS演技大賞で男性人気賞、共演のユ・アインとベストカップル賞を受賞、ブームを巻き起こす。
第2次ブレイクとなったのは、2016年の『太陽の末裔〜Love Under The Sun〜』だ。それまで美少年・イケメンのイメージが強かったソン・ジュンギは、除隊後の復帰作となった本作で軍人ユ・シジン役を演じ、ユ・シジンシンドロームを巻き起こす。そして、2021年に『ヴィンチェンツォ』が世界的ヒット作品となり、マフィアのヴィンチェンツォ・カサノ役が大人気で逆走。第3次ソン・ジュンギブームを巻き起こす。
日本でも配信後は、Netflix TOP10に上位入りするとともにTwitterのトレンド入りの常連となった。さらに、2022年に主演を務めた『財閥家の末息子』は、『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』を超え、歴代JTBCドラマの視聴率2位の座に躍り出た。ソン・ジュンギは本作で、大企業のサラリーマンであるユン・ヒョヌと、財閥御曹司のチン・ドジュンの2役を演じ、韓国では、キャラクターの強靭さと柔らかさを同時に見せる繊細な演技が高く評価されている。今後の逆走も楽しみな俳優だ。
挑戦と進化を続けるイ・ビョンホン
さらに、『オールイン 運命の愛』(2003年)で第1次韓流ブームを牽引したイ・ビョンホンが、2021年に『イカゲーム』、2022年に『私たちのブルース』で逆走ヒット俳優として見事な返り咲きを魅せてくれた。イ・ビョンホンは、ペ・ヨンジュンやウォンビンらとともに、第1次韓流ブームの“元祖韓流四天王”として人気を博した。その後、ハリウッドにも進出し、世界のイ・ビョンホンとなっていたが、『ミスター・サンシャイン』(2018年)以降、ここに来て韓国でのドラマカムバックを見せ、さすがの演技力で私たちを魅了した。『私たちのブルース』は見応えのある人間ドラマで、イ・ビョンホンはこれまで演じたことのないトラック行商人のドンソク役を演じた。特に、終盤のキム・ヘジャとの演技合戦には涙を誘われた視聴者も多いのではないだろうか。次作ではどんな姿を見せてくれるのか、スターの座に君臨するイ・ビョンホンの挑戦と進化が楽しみだ。