『らんまん』要潤演じる田邊の誰にも理解されない孤独 万太郎と再び交わる日は来るのか
そのことを一番理解していたのは、徳永助教授(田中哲司)だろう。だから、彼は万太郎に「この感謝を、忘れるなよ」としっかり言い残して、ドイツへと旅立ったのだ。惜しむらくは、万太郎がわかると思ったのか、その感謝の示し方までは教示しなかったこと。自分の後釜である大窪に託した部分もあったのかもしれない。しかし、大窪も万太郎が共著にしなかったことはまずいと直感的に気づいたのだろうが、まさか田邊が彼を破門にし、土佐の植物目録と標本500点を大学に寄贈するよう命じるとまでは思わなかったのだろう。混乱する頭で、田邊が御茶ノ水高等女学校の校長に就任したのが原因じゃないかと推測する大窪の言葉が、彼もまた田邊の怒りがどこにあるかを理解できていないということを示している。田邊の奏でるバイオリンの音色が、誰にも理解されない彼の孤独を物語っていた。
許しを得ようと懇願するも、万太郎を泥棒と呼びそのまま出て行ってしまう田邊。
さらに、万太郎の土佐植物目録と標本500点を大学に寄贈するよう命じました。
そのまさかの言葉に驚きを隠せない一同。
どうすればよいのでしょうか…。#朝ドラらんまん#神木隆之介 #井上想良 #犬飼直紀 #要潤 pic.twitter.com/kDYUxfaMtg
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) July 30, 2023
万太郎は、自分が書いた論文を教授は気に食わなかったのだろう。論文を書き直せば、教授も考え直してくれるかもしれない、という理解でひとまず自分を納得させるに至った。事情を知り、「万太郎さんと教授のつながりが、こんな、これで終わりなんてことないでしょ?」と心配そうに万太郎へ問いかける寿恵子。だが、万太郎は田邊から「私の人生で君に関わる時間は終わった」とはっきり明言されたのだ。そうそう簡単に、関係は修復できないだろう。一方で、第83話でゆう(山谷花純)が放った「たとえ悪いことが起こっても、その先できっとまた笑えるんだから」という言葉も信じたい。生きている限り、再び道が交わる日は来るはずだから。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK