『連続ドラマW フィクサー』は“正義”が絡み合う極上のミステリ 無数の思惑に翻弄されるS2
『連続ドラマW フィクサー Season2』がWOWWOWで放送されている。本作は、『白い巨塔』(フジテレビ系)、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)など多くの人気ドラマを手掛けてきた井上由美子が脚本を務めるノンストップサスペンスだ。主演に唐沢寿明、共演に町田啓太、江口のりこ、鈴木保奈美ら豪華キャストが名を連ね、重厚な本作に花を添える。Season2では、“フィクサー”として金や権力を思うままに操る謎の男・設楽拳一(唐沢寿明)が、司法の世界で暗躍する様子が描かれる。今回は、8月6日放送の最終話に向けて、第4話までの内容を振り返りつつ考察していきたい。
新聞記者の渡辺達哉(町田啓太)は、東京都知事・横宮(石黒賢)の東京湾埋立事業にまつわる疑惑についてスクープを狙っていた。だがある日、横宮から呼び出された達哉がホテルに到着すると、そこには横宮の妻・妃呂子(真飛聖)が頭から血を流して倒れていた。慌てて救護する達哉だが、駆けつけた横宮とホテルスタッフに咎められる。こうして達哉は、妃呂子を殺害しようとした容疑にかけられ、逮捕されてしまったのだ。
だがこの一件には、政財界に強い影響力を持つ本郷吾一(西田敏行)が関わっていた。達哉の冤罪は本郷、須崎(小林薫)、横宮らによって仕組まれたものだったのだ。そんな中で拳一は達哉に手を差し伸べようとしていた。かつて拳一を刑務所に送った東京地検検事・佐々木雪乃(江口のりこ)と因縁のあるヤメ検の杉谷菜穂子(鈴木保奈美)を達哉の弁護人につけ、資金面でも援助する。そしてこの法廷は、東京都、ついには日本を“乗りこなす”ための壮大な代理戦争となる。
第4話までで押さえておきたいポイントは、拳一と達哉を結びつける関係だ。拳一は達哉について「利用しようと思った。情報を集めるためにはメディアに手先になってもらうのが一番だからね」と話していたが、助ける理由はこれだけなのだろうか。達哉の母・響子(斉藤由貴)は過去に大けがをして入院した拳一の担当看護師だったと明かしているが、それ以外にもっと個人的な関係があるような予感も。拳一はなぜ達哉の冤罪をはらすことに、ここまで躍起になっているのだろうか。そして達哉の冤罪は拳一の力によって晴らされるのだろうか。渡辺が拘置所のガラス越しに響子と話した時に「俺、日曜日で30歳だよ。母さんが看護師しながら30年育ててくれたんだろ」と言った後に、「そうか!」と何かに気づくそぶりを見せた場面も非常に気になる。冤罪に苦しめられる達哉の感情の浮き沈みを丁寧に演じる町田の芝居に注目しながら真相を見届けたい。