『呪術廻戦』「懐玉」で描かれた“最強”ではない五条悟 彼の“青のすみか”を考える

『呪術廻戦』五条悟の“青のすみか”とは

 五条の唯一の親友、夏油も一般家庭の出身だ。御三家に生まれ、ザ・呪術界のお偉いさんや権力者に囲まれて育った五条にとって、そういうしがらみとか一切なく友達になれた存在。夏油にとって、五条が“五条”であることなんかどうでもよかっただろうし、そんなふうに接してもらえる機会の少ない彼にとっては嬉しかっただろう。一般家庭で育った夏油の判断を善悪の指針にしていたことも、子供の頃から呪術界における“腐ったミカン”を見てきたからかもしれない。五条にとっての自由、青い春――“青のすみか”は夏油と過ごした時間そのものだったのではないか。

 劇場版でも描かれたように、その青い春も「玉折」で描かれる夏油の離反をきっかけに終わりを迎えてしまう。アニメでは残すところあと2話で「懐玉・玉折」と名打った過去編が終わると言われており、“最強な私たち”から「私」と「僕」になってしまう未来が近いことがやるせない。それでも、乙骨に自ら処刑した夏油のことを「僕の親友だよ」と、過去形ではなく現在進行形で伝えたように、五条にとって「懐玉・玉折」編は、夏油傑という男は、過去であり現在であり、未来なのだ。

■放送情報
『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」
MBS/TBS系にて、毎週木曜23:56~放送
「懐玉・玉折」編:7月6日(木)~8月3日(木)放送
閑話(前編) 8月10日(木)放送
閑話(後編) 8月17日(木)放送
「渋谷事変」編:8月31日(木)〜放送
キャスト:中村悠一、櫻井孝宏、遠藤綾、永瀬アンナ、子安武人
原作:『呪術廻戦』芥見下々(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史、小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
オープニングテーマ:キタニタツヤ「青のすみか」(Sony Music Labels)
エンディングテーマ:崎山蒼志「燈」(Sony Music Labels)
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
公式サイト:https://jujutsukaisen.jp

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