『らんまん』喜ばしい寿恵子の妊娠 朝ドラで描かれてきたヒロインの妊娠と出産を振り返る

朝ドラで描かれてきた、ヒロインの妊娠と出産

 一方、ヒロインの大事な局面と妊娠が重なった場合は出産までの期間がじっくり描かれる傾向にある。『エール』(NHK総合)のヒロイン・音(二階堂ふみ)がそのいい例で、彼女は音楽学校の記念公演で主演に抜擢された直後に裕一(窪田正孝)との子を妊娠した。舞台にも立ちたいし、子供も産みたい。だけどつわりで舞台の練習もままならず、焦りや苛立ちに襲われる音。裕一は無理せず体を大事にするようにアドバイスするが、そのことで逆に彼女の機嫌を損ねてしまう。

朝ドラ『エール』第49話では、音(二階堂ふみ)が千鶴子(小南満佑子)らに妊娠を伝えるが……

毎週月曜日から土曜日まで(土曜日は1週間の振り返り)放送されているNHKの連続テレビ小説『エール』。6月4日放送の第49話では、…

 そんな中、歌手の藤丸(井上希美)に「赤ちゃんの母親である前に奥さんだって1人の人間。あなたも父親になることに浮かれてばかりいないで奥さんの心に寄り添いなさい」と言われたことで裕一はようやく自分がすべきことに気づくのだ。その後、裕一が音にかけた言葉は今でも心に残っている。プロの作曲家として今の音が舞台に立つべきではないと厳しく判断しながらも、「もう一度、夢に向き合える日が来るまで、僕がその夢を預かって大事に育てる」と音の葛藤に寄り添った裕一。結果的に音は舞台を降板するが、それは夢を“諦めた”のではなく、“延長した”ことを意味していた。

 『ちむどんどん』(NHK総合)のヒロイン・暢子(黒島結菜)もまた修行先のイタリア料理店から独立し、自身の店を構えるタイミングで夫である和彦(宮沢氷魚)の子を妊娠。開店延期の危機に晒されるが、彼女の場合は姉夫婦から200万円もの援助を受け、すでに物件も押さえた後のことだった。そのため諦めるわけにはいかず、お腹に子供を抱えた状態で開店の準備を進める暢子。そんな彼女をサポートしてくれたのが、料理人として雇った矢作(井之脇海)だ。彼はもともと暢子とは折り合いが悪かったが、この期間に身重の暢子を気遣う姿勢を見せ、仕事上のパートナーとしての絆を強めていった。

『ちむどんどん』暢子の妊娠で夢はどうなる? 『なつぞら』でも描かれた仕事と子育ての両立

「ふるさとの味でたくさんの人を笑顔にしたい」という思いを胸に、沖縄料理店の開店準備に追われる暢子(黒島結菜)。和彦(宮沢氷魚)も…

 公私ともに良きパートナーである万太郎と寿恵子にとっても今は大事な局面。研究者として成果をあげる万太郎が夫として、妊娠中の寿恵子にどのような振る舞いを見せるか注目したい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる