『ちむどんどん』暢子の妊娠で夢はどうなる? 『なつぞら』でも描かれた仕事と子育ての両立

『ちむどんどん』暢子の妊娠で夢はどうなる?

 「ふるさとの味でたくさんの人を笑顔にしたい」という思いを胸に、沖縄料理店の開店準備に追われる暢子(黒島結菜)。和彦(宮沢氷魚)も東洋新聞社を退職し、奇しくも夫婦は同時期に独立することになった。

 そんな矢先、暢子の妊娠が発覚。『ちむどんどん』(NHK総合)第20週は、暢子が予定通りお店をオープンさせるのか、それとも延期にするのかが焦点となってくる。

 喜ばしいことである一方、今の暮らしを大きく変化させる出来事でもある妊娠・出産。それに伴う、母親となる女性の不安や戸惑いを朝ドラは色んな形で描いてきた。

 近年、とりわけ印象的だったのは『エール』(2020年前期放送)。主人公・裕一(窪田正孝)の妻・音(二階堂ふみ)が第一子を妊娠したのは、暢子と同じく夢を叶える手前の出来事だった。

 当時、音は歌手を目指す音楽学校の生徒。学校の記念公演『椿姫』の主演を勝ち取った直後に妊娠が判明し、どちらも諦めたくない音はつわりに苦しみながらも公演に向けて練習を重ねた。そんな音を厳しくも愛のある言葉で諌めたのが、裕一だ。

 裕一は同じプロの音楽家として、最大限の力が発揮できない音に「君は舞台に出るべきじゃない」と意見した上で、音がまた夢と向き合える日まで「僕がその夢を預かって大事に育てる」とその無念に寄り添った。

 音は舞台を降板し、華(本役:古川琴音)を出産。のちに彼女は自分を産むために歌手を諦めたのか、という華の問いに「私があなたを選んだの」と答えている。長年のブランクがあり、結果的に大舞台に立つという夢は叶えられなかったが、自分なりの方法で大好きな歌を続けていく音の姿に励まされた人も多いのではないだろうか。

『なつぞら』が描く子育てと仕事を両立させることの難しさ 下山夫妻の優しさがなつを救う

子育てと仕事の両立――そのためには、いつの時代であっても、なかなか思うようにいかないことや、頭を抱え込んでしまうようなことがしば…

 一方、『なつぞら』(2019年前期放送)のヒロイン・なつ(広瀬すず)はアニメーターの仕事を出産後も続けることを決断する。しかし、なつが妊娠した昭和40年代はまだ女性差別が色濃く残っていた時代。なつより以前に妊娠した同僚の茜(渡辺麻友)も出産を機に契約社員になることを勧められ、会社を去っていった。

 だが、なつは夫・坂場(中川大志)の「会社がその後の君の仕事を認めれば、次から他の女性も働きやすくなるだろう」という言葉に背中を押され、会社の仲間を引き連れ社長に直談判。出産後も働き続ける権利と、それまでと同じ待遇を勝ち取った。

 同時に本作は子供を預ける保育所が見つからなかったり、そんな矢先になつが作画監督という大役を任されたりと、仕事と子育てを両立させることの難しさもシビアに描いていた。なつがそれでも仕事を続けることができたのは、夫である坂場や周りの献身的な支えと理解があってこそだ。

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