『ハヤブサ消防団』は異色のミステリードラマ 池井戸潤&中村倫也の新たな代表作に?

『ハヤブサ消防団』中村倫也の個性が活きる

 中村倫也が主演を務めるドラマ『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)が、7月13日よりスタートした。

 本作は、池井戸潤の同名小説を原作とした異色の新機軸ミステリー。『半沢直樹』(TBS系)や『下町ロケット』(TBS系)など「銀行」や「町工場」といった、“池井戸潤と言えば”のイメージからはかけ離れた異色作である。

 予告を観る限り不穏な気配が漂うドラマだとは思っていたが、蓋を開けてみればその不気味な雰囲気は何倍にもなって膨れ上がっていく。かと言って、「ホラー」とまではいかない、ほどよい怖さに設定されている印象だ。その正体は、「この田舎町、どこかおかしい」というキャッチコピーがつけられていることからも分かるように、ハヤブサ地区に出てくる登場人物が次から次へと怪しいということ。田舎というある種の閉鎖空間(出ようと思えば出られるが)を舞台に、殺人、そして連続放火事件が起きるというのは、シチュエーションこそ違えど映画『八つ墓村』やアニメ『ひぐらしのなく頃に』、海外ではA24の『ミッドサマー』『X エックス』といった作品が思い浮かぶ。

 第1話では、本作のヒロインとなる立木彩(川口春奈)もまたベールに包まれた存在として描かれているが、一瞬の登場にもかかわらず、すでに異彩を放ちまくっているのが白髪の初老の女性・映子(村岡希美)である。CM前のアイキャッチには「戦慄の田園ミステリー」「集落に潜む謎と闇」とあり、画的にはカルト宗教を彷彿とさせるシーンでもあった。

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