『らんまん』寿恵子の揺るぎない万太郎への思い 初めて明かされた大窪の本音も

『らんまん』寿恵子の驚愕の行動としたたかさ

 『らんまん』(NHK総合)第73話で、寿恵子(浜辺美波)が印刷機を買いたいと言いだし、万太郎(神木隆之介)、大畑夫婦(奥田瑛二・鶴田真由)は驚く。

 寿恵子の思いがけない行動に、大畑夫妻が戸惑う以上に万太郎が動揺していたのが面白い。身の丈に合わない買い物であることは、寿恵子も重々承知している。それでも印刷機を買い、研究も印刷もその場でできることは一番理にかなったやり方だと話す。印刷機は高額だが、寿恵子の脳裏に「峰屋」が万太郎のために持たせたお金が浮かぶ。寿恵子は冷静な面持ちで「出せます」と答え、大畑夫妻を驚かせた。

(左)波多野泰久役・前原滉、(中央)槙野万太郎役・神木隆之介、(右)大窪昭三郎役・今野浩喜

「このお金を使えば、もう後はなくなります。これから先、きっと、とても苦しくなる。でも今、万太郎さんに入り用なら……!」

 万太郎の体を気遣いながらも、研究に没頭しがちな万太郎を理解し、決意を固める寿恵子の存在は心強い。万太郎と寿恵子は、印刷機を導入するため長屋の壁をぶち抜きたいとりん(安藤玉恵)に申し出る。「ええ〜っ!」と天に向かって驚きの声をあげるりんの姿がコミカルだ。万太郎と寿恵子はりんに事情を説明するのだが、「(印刷機を研究室に置くと)万太郎さんの標本や本が入らなくなりそうで」という寿恵子の台詞からは、寿恵子が図鑑作りに励む万太郎を第一に考えていることが伝わってくる。

 とはいえ、周知のとおり、寿恵子が万太郎に不満が一切ないというわけではない。それが表れていて面白かったのが、りんとえい(成海璃子)が万太郎の部屋が片付かないことに小言を言う場面だ。りんとえいの小言に拍車がかかると、万太郎は怯えるように寿恵子の後ろに隠れる。寿恵子は怯える万太郎の様子を横目でちらと見ながら、りんとえいの言葉に深くうなずいていた。「嫌だよ〜食べるところに砂なんて……」「お布団もジャリジャリ……。嫌だ〜」というりんとえいのやりとりに、万太郎は居心地が悪そうだ。

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