『らんまん』前半戦を支えた志尊淳に拍手! 竹雄と重なっていた万太郎/神木隆之介への愛

『らんまん』前半戦を支えた志尊淳

 朝ドラ『らんまん』(NHK総合)が折り返しに突入した。万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)は祝言を終え、長屋での新婚生活を始める。長屋の人々は歌って踊って回って、2人の新生活の門出を祝うといった賑わいだが、どこか寂しさを感じるのはなぜだろう。万太郎のそばに長年連れ添った竹雄(志尊淳)の姿がないからだ。ネット上では早々に“竹雄ロス”の声もあがっており、それほどにも『らんまん』の前半パートにおいて、竹雄、そして演じる志尊淳の存在は大きかった。

 近年の朝ドラ主人公の欠かせない役として登場してきた親友や兄弟キャラクター。万太郎と竹雄の関係性は、そのどちらでもない、“お目付け役と若”だ。万太郎に振り回されながら竹雄は「若!」と声を張り、牛鍋のおいしさに万太郎と全く同じように顔を綻ばせる。万太郎の行動一つでくるくると変わっていく、竹雄を演じる志尊の喜怒哀楽の表情は愛くるしさを感じさせた。

 竹雄は、万太郎と共に喜んで笑い合う一方で、主人を支える者としても、しっかりと傍に立つ凛々しさを見せる。万太郎が迷ったときは叱咤激励し、背中を押す。「わしが二度とそばを離れんと誓うたがはあんただからやき」「あなたは呪いじゃなく祝いじゃ」という万太郎と愛する綾(佐久間由衣)に向けた言葉は、本作の名言として刻まれた。志尊が涙を流し、感情的な竹雄の生き様を見せられる場面には、いつも心が揺さぶられっぱなしだった。

『らんまん』第51話

 互いが互いの表情を引き出すといった具合に、神木と志尊の連れ添う相棒感は観ていて心地が良い。師弟でもなく、単なる主従としての繋がりでもなく、最高の相棒として2人は物語の中で生きている。

 一方で、竹雄が恋愛パートで見せたのは全く別の顔だった。好意を寄せる綾を前にした志尊の憂いを帯びた瞳には、吸い込まれそうになるほどの、繊細な恋心が伝わってくる。“一心に相手のことを考える”という気持ちに違いはないが、万太郎と綾に向ける竹雄の眼差しは全く異なる。万太郎を思い、綾を想う竹雄の健気で一生懸命な姿に、心が奪われた。

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