『らんまん』前半の集大成となる見事な“最終回”演出 第1話の対となるセリフが随所に

『らんまん』前半戦の見事な“最終回”

 そして第1話のアバンで万太郎が山に入り、水辺の岩場を進んでいき「おまん、誰じゃ?」と新種と思わしき植物を発見するシーンが、第65話、つまりは前半のラストを締めくくった。対象となってるのはもちろん、今こうして見ると万太郎が寿恵子と祝言を挙げて佐川に帰ってきてからの場面であること、さらに寿恵子が言っていた「誰にも気づかれてないけどそこにいる子、生きている子。その子たちを万太郎さんだけが気づいてあげて見てあげるの」というセリフが生きてくる、新たな視点で見られる構成となっている。

(左)槙野タキ役・松坂慶子、(右)槙野万太郎役・神木隆之介

 また、この第65話では槙野家にやってきたばかりの幼少期の綾(太田結乃)をタキが「血の繋がりじゃのうて、縁で繋がる家族に」と迎え入れる場面がある。万太郎を抱えたヒサもいる、言わば第1話以前の“エピソード0”だ。それは病の桜の木から万太郎が接ぎ木した枝を見つめてのタキの回想。同時にタキは接ぎ木した枝から再び桜が咲き誇ることを夢見た。満開の桜の下、万太郎と寿恵子、綾と竹雄、それぞれ夫婦が子供たちをあやしながら、満面の笑みを浮かべている。それは曾孫を抱いてみたいという願いを心に留めていたタキが見た幸せな未来。「らんまんじゃ」というタキのセリフが万太郎たちの背中を優しく送り出しながら、物語はそんな希望に溢れたシーンへと続いていく。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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