『Dr.チョコレート』唯の両親が殺された真相 素直に希望の持てる魅力的なラストに

『Dr.チョコレート』唯の両親の死の真相

 前者では殺された妻に、後者では失踪した家族に「会いたい」という強い思いを原動力にして、(前者ではとりわけ復讐心をたぎらせながら)ミステリーを解き明かしていく。今作でも同様に、「会いたい」という感情を原動力にして物語が運んでいったとはいえ、事件の真相を追う役割は野田が背負い、唯は「会いたい」けれど「もう会えない」現実を静かに受け止めながら、父親のように人の命を助ける“ドクターチョコレート”としての役目を全うしていくことで、その原動力を外へ向けてポジティブに放ち続ける。だからこそ、今回ようやく真相を知った上で唯が見せた涙と、いつものオペの時の決め台詞とは違うニュアンスをもった「命はひとつ、誰にも平等に」の言葉に込められた意味の深さは計り知れないものがある。

 結局のところ、亡くなった誰かに「会いたい」という思いの果てには虚無感がつきまとう。それは『あなたの番です』と『真犯人フラグ』においても一貫していた。しかしそこに、野田が医師としての自信を取り戻すことや、カンパニーが解散しても仲間同士のつながりが見えたことで、素直に希望の持てるラストに導かれた点は魅力的だ。“10歳の闇医者”という出オチ感満載の突飛な設定が最後まで突飛なものとして物語のアクセントになり続けた点もさることながら、とにもかくにも唯を演じた白山乃愛の次作が楽しみで仕方がない。その一言に尽きる。

■配信情報
『Dr.チョコレート』
TVer、Huluにて配信中
出演:坂口健太郎、白山乃愛、西野七瀬、葵わかな、鈴木紗理奈、前田旺志郎、古川雄大、小澤征悦、斉藤由貴ほか
企画・原案:秋元康
脚本:渡辺雄介
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:藤森真実、岩崎広樹、本多繁勝
演出:佐久間紀佳、南雲聖一、宮下直之
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dr-chocolate/
公式Twitter:@drchocolate_ntv
公式Instagram:@drchocolate_ntv

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる