『だが、情熱はある』はただのエンタメにあらず 激戦の時代を生き抜いた芸人の“エール”

『だが、情熱はある』は芸人によるエールだ

 作中、2人は何度もノートを開く。ネタを書く時もあれば、自分の考えを整理するために、何度も何度もノートにペンを走らせる。1つ1つのチャンスを逃さないために、思考を整理し、次の一手を考える。考えなければ、チャンスが掴めない。同期たちに負けてしまう。第4話で足軽エンペラーを解散し、ピン芸人になった山里。第5話では、次の一手を考え、しずちゃん(富田望生)とコンビを組むために、ノートを開くシーンが描かれている。努力とは、理想と現実のギャップを正しく理解し、足りない部分を埋めるための方法を考えるものなのだと、気付かされる。

 芸人とは難儀な職業だ。芸を磨いたからといって、日の目を見るとは限らない。世に名前が知れた後の山里がしずちゃんに対して嫉妬していたように、憧れていた場所にたどり着いても、他の悩みが生まれてくる。どんなに努力しても、評価されず、上には上がいることを痛感する。光が見えるまで、もがき続け、努力と挫折を繰り返すしかないのだ。

【だが情熱はある】第7話で放送された南海キャンディーズ「M-1グランプリ2004」の漫才、未公開シーンを含む約4分のフル尺漫才初公開!

 そんな芸人の人生を扱う本作は、どんなストーリーを描くのか。コンビの友情、先輩や親との感動、売れるまでのサクセスストーリー……。芸人の人生は、そんな一辺倒な言葉で表現できるようなエンターテインメントの枠には収まらない。努力と挫折を繰り返した芸人の人生を描くからこそ、理想だけでは語れない現実を生きる私たちにとってのエールとなるのだ。

 2人は心の内を何度も何度もノートにぶちまけながら、自分と向き合う。うまくいかない日々に、うんざりしながら、それでも前に進んでいく。そうやってお笑い業界激戦の時代を生き抜き、結果を出した彼らの姿は、泥臭くて惨めでも、前に進み続けることの意味を教えてくれる。

■放送情報
日曜ドラマ『だが、情熱はある』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
公式Twitter:@daga_jyounetsu

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