『ラストマン』福山×大泉コンビがバディの危機を乗り越える タイトルに込められた真意

『ラストマン』タイトルに込められた真意

 手負いのFBI捜査官と銃を持った容疑者。『ラストマン―全盲の捜査官―』(TBS系)第8話は、首都高を走るバスが舞台になった。

 41年前の事件で、実父の鎌田國士(津田健次郎)に殺されたのが皆実(福山雅治)の両親であると知った心太朗(大泉洋)は、バディの解消を告げる。「こんな茶番はもう終わりです」。そう言って、皆実の前を去った。事件の真相を追う皆実は、アテンド役に任命された吾妻(今田美桜)と第一発見者の元捜査一課長を訪ねて御殿場へ向かう。その途中、バスターミナルで不審な男と出くわした皆実たちは、男を追ってバスに乗り込む。予想は的中し、男は銃口を皆実に向けた。

 高速バスの車内で清水拓海(京本大我)は乗客にスマホを取り出すように命じ、「2年前に起きた幼稚園バスの女児置き去り事件の真犯人を当てろ。正解すれば人質を解放する」とSNSで拡散させた。犯人の意図が不明なまま、またたく間にネット上で根拠のない噂や憶測が広まる。車内の皆実は吾妻を通じて心太朗に状況を知らせ、バスの追跡と容疑者の特定が同時並行で進められた。

 バディの間隙を突くように起きたバスジャック事件。皆実にとって目であり、手である心太朗を失うことは身体の一部を奪われるようなものだろう。代わりに組むことになった吾妻は「バディ」よりも「介助者」という言葉が似合う。そのことは、心太朗が皆実にとって欠くことのできない存在であることを物語っていた。

 知りたくないこと、触れたくない心の傷。それらが記憶の彼方に消えてしまう前に、パンドラの箱を開けなくてはならない。そうしないと、自分も過去にとらわれたまま永遠に真実から取り残されてしまうからだ。過去に縛られた男という「ラストマン」の意味が明かされた第8話では、思い違いが生む悲劇が取り上げられた。

 同姓同名の人違いによる誹謗中傷。バスジャック犯の狙いは不起訴になった置き去り事件の犯人・清水拓海(兼松若人)への復讐にあったが、実は清水は犯人ではなく女児は事故死だった。「どいつもこいつも大間違いで不正解だよ!」と叫んだバスジャック犯自身が、心太朗が言うところの「噂と書き込みに踊らされて、何一つ自分で確かめることなく、想像力のかけらもない馬鹿なネット民と同じ」という指摘は氾濫するネット言論への風刺になっていた。

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