『ラストマン』福山×大泉コンビがバディの危機を乗り越える タイトルに込められた真意
『ラストマン』は匿名の悪意を一貫して描いており、背景には疎外された人々の存在がある。第1話の爆弾魔・渋谷(宮沢氷魚)や第6話の宇佐美(前原滉)はその典型であり、第8話のバスジャック犯の清水も含まれる。彼らは法律や制度が救えなかった人々である。社会から見捨てられ、罪を犯すに至った心境を考えるとやりきれない。本作には社会的な分断が加害者と被害者として現れる構図があり、分断を生み出した社会を告発しているように見える。
皆実は取り残された人々に目を向ける。皆実自身が過去にとらわれた人間である。41年前の記憶がフラッシュバックする皆実にとって、生きることは苦しかったはずだ。視力を失った皆実は、見えないから余計、その記憶から逃げられなかったし、真実と向き合う以外なかった。皆実にとって救いだったのは、不自由な境遇でがむしゃらに努力するしかなかったことだ。そのことが、結果的に皆実を心太朗の前に連れてくることになった。
分断された過去と現在を、皆実と心太朗はふたたびつなごうとする。なぜ出会った瞬間から2人はバディになれたのか? 皆実にとって殺人事件のサバイバーである心太朗はもう1人の自分だ。幸か不幸か視力を失ったことで、皆実は心太朗に会うことができた。その目で見ることができなくても、心太朗の存在は心で感じている。心太朗も皆実の思いを知った。バディのような皆実と心太朗が本物の相棒に変わった瞬間だった。
■放送情報
日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:福山雅治、大泉洋、永瀬廉(King & Prince)、今田美桜、松尾諭、今井朋彦、奥智哉、王林、寺尾聰、吉田羊、上川隆也
脚本:黒岩勉
演出:土井裕泰、平野俊一、石井康晴、伊東祥宏
撮影監督:山本英夫
プロデュース:益田千愛、元井桃
編成プロデュース:東仲恵吾
音楽:木村秀彬、mouse on the keys
全盲所作指導:ダイアログ・イン・ザ・ダーク
協力:日本視覚障害者団体連合
製作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lastman_2023_tbs/
公式Twitter:@LASTMAN_tbs
公式Instagram:LASTMAN_tbs