『ラストマン』福山雅治が見抜いた男女の嘘と真実 大泉洋とバディ解散の危機?

『ラストマン』皆実が見抜いた男女の嘘と真実

 この記事はネタバレを含んでいる。『ラストマン―全盲の捜査官―』(TBS系)第7話は、ふ頭の白骨死体、ハニートラップ、後妻業、スパイ大作戦、美声の大使館職員、元妻と元彼女、パンと牛乳、車内会議、銃声、逃亡、明かされる真実、ざっとこんな感じだ。

「彼女はそんなふしだらな女性ではないはずです」

 ふ頭で引き揚げられた車から見つかった死体。白骨化した遺体は76歳の資産家・葛西征四郎(小林勝也)のもので、妻の亜理紗(岡本多緒)が容疑者として浮上した。40歳差の征四郎と結婚する前に、亜理紗は暴力団フロント企業の社長と結婚していたが、その夫も亡くなっており、周囲からは後妻業を疑われていた。その上、アメリカ大使館の職員にハニートラップを仕掛けて機密情報を漏洩させるなど、第三国のスパイの疑惑もあった。

 設定が渋滞し、どこから着手すればいいか戸惑ってしまうが、結論から言うとどれでもなかった。年の差婚のカップルを見ると、つい裏があるのではと勘ぐってしまう。ゴシップ記事の読みすぎかもしれないが、名が体を表すように、怪しい人には何かあると考えるのが一般的な感覚である。亜理紗も海外逃亡を図った時点で完全にクロだと思われた。そんな中、ただ一人、亜理紗の無実を信じて疑わなかったのが皆実(福山雅治)だった。

 第7話ではロマンチックな2人の関係が描かれた。硬派な刑事ドラマの『ラストマン』には恋愛要素がないわけではない。前面に出てこないだけで実はけっこう盛り込まれている。第4話の吾妻(今田美桜)と泉(永瀬廉)がそうだったし、心太朗(大泉洋)と佐久良(吉田羊)や第7話で登場した皆実と元妻のデボラジーン・ホンゴウ(木村多江)もそうだ。恋愛経験は時として捜査のヒントになる。年を経て落ち着いた関係は大人の風情を醸し出し、パートナーという言葉の奥行きを感じさせる。

 皆実が亜理紗をシロと見抜いたのは、過去の経験に理由があった。デボラとの旅行先でハニートラップを仕掛けられた相手はスパイで、FBI捜査官の皆実はまんまと罠にはまった。「訓練されたスパイなら、私でも嘘は見抜けない」と皆実は言うが、過去の苦い経験から学んでいた。目の見えない皆実は、女の嘘を見抜く嗅覚を磨いていた。

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