『波よ聞いてくれ』笑いと感動の最終回 小芝風花の鼓田ミナレに再会できることを願って

『波よ聞いてくれ』笑いと感動の最終回

 麻藤からミナレへの最後のムチャぶりは、終わりが見えないノンストップの生放送。進行を任された瑞穂と富美(井頭愛海)が見守る中、マイクスタンドの前に座ったミナレは、そこで自身最大の力を発揮する。それは、混沌をさらなる混沌で包み込み、秩序をもたらす力だ。持ち前の度胸とバイタリティで臆することなく暗闇の中を進むミナレ。そこから生まれるハプニングと、それに直面したミナレの心の底から湧き上がる飾り気のない言葉が人々を笑わせ、時に誰かの人生を変えてきた。

 災害に見舞われたこの日もミナレのラジオには、リスナーからお役立ち情報から緊張感のない雑文まで様々なお便りが届く。それを見事なトーク力でさばくミナレの声が、不安の中で眠りにつく人や宝田の提案で炊き出しのカレーを作る忠也(片寄涼太)やマキエ(中村ゆりか)、その様子をカメラで収める蘭(中川知香)など、各々できることを全うする人たちに光を灯した。でも、こうなる前からみんなミナレにはそういう力があることを知っていたのだ。知らなかったのは当の本人であるミナレただ一人。麻藤も今やシセル光明(小芝風花/二役)に似ているミナレではなく、彼女そのものの才能を信じている。

『波よ聞いてくれ』最終回

 主題歌「愛の波」(マカロニえんぴつ)の一節にもあるように、〈誰かに届けているつもりでいて、 まだ大丈夫?ってじぶんに訊いていた〉ミナレ。彼女のラジオを聴きながら、スタジオまで歩いてきたまどかと久連木にバトンタッチする間際、ふざけた名前のリスナーからミナレに感謝の言葉が届く。ミナレのおかげで一人じゃないと思いながら朝を迎えられたと。その瞬間、自分が声を届ける意義に気づいたミナレの泣きそうな表情があまりに魅力的で涙が溢れた。

 鼓田ミナレと小芝風花が一心同体となり、笑いと感動をもたらした約3カ月。ミナレの「See you next week!」という台詞が、ドラマは最終回を迎えたが、ラジオの『波よ聞いてくれ』はこれからも続いていくことを告げる。この先、またどこかで“小芝ミナレ”に出会えることを願ってやまないのはきっと私だけじゃないだろう。

■配信情報
『波よ聞いてくれ』
TVer、TELASAにて配信中
出演:小芝風花、片寄涼太、原菜乃華、中村ゆりか、平野綾、西村瑞樹(バイきんぐ)、井頭愛海、中川知香、小市慢太郎、北村一輝ほか
原作:沙村広明『波よ聞いてくれ』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
脚本:古家和尚
演出:住田崇、片山修、植田尚
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/namiyo/

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