『スキップとローファー』が視聴者の心を掴む理由 対照的なみつみとミカに思いを寄せて

『スキップとローファー』が心を掴む理由

 現在放送中のアニメ『スキップとローファー』が人気を集めている。放送前の注目度は決して高くはなかったが、今では「4月期のダークホース」とも称されており、日本だけでなく海外でも非常に人気が高い。

 『スキップとローファー』の面白さの根幹にあるのが、主人公・みつみの存在だ。みつみは石川県から東京の進学校に首席入学した高校1年生。勉強はできるが、良くも悪くも世間知らずで純粋である。その純粋さゆえの言動が、周囲にどんどん好影響を与えていく。

 そんなみつみの姿は、多くの視聴者に魅力的に映る。その理由について、みつみのクラスメイトである江頭ミカとの対比から考えていきたい。

 みつみとミカは、クラスで席が近いことから最初の接点を持つ。ミカは当初、みつみを雑に扱い相手にしていなかった。しかし、ミカが意識している志摩聡介とみつみが親しいことが分かり、志摩に近づく目的でみつみと交友を持ち始める。ミカにはみつみ以外の人付き合いでも、打算的に物事を考える一面があった。

 第2話でみつみは、ミカの提案でクラスメイトたちとカラオケに行く。これは、ミカが志摩とみつみの関係を探ることが本当の目的だった。クラスメイトたちとの関わり方に迷っていたみつみは、カラオケを楽しめず居心地の悪さを感じていた。しかし「考えても仕方のないこと」と割り切ったみつみは、昔流行っていたアニメ「テッテケトコ次郎」の曲を拳を振り下ろしながら熱唱する。懐かしいアニメソングを全力で歌ったことで、みつみは「岩倉さんおもれー!」とクラスメイトから賞賛を受ける。

 第2話のナレーションにもあったが、大人数カラオケには「みんなが良く知る楽しい曲を選ぶこと」「恥ずかしがらずノリよく歌うこと」という2つの心得がある。カラオケに来たことのないみつみが、この心得を抑えた選曲を計算ですることは不可能。ただ単に自分が歌いたい曲を歌っただけである。つまりみつみは、カラオケにおける100点の行動を素でできる女の子なのだ。

 みつみがクラスメイトから賞賛を受ける姿を、ミカは複雑そうな表情で見つめていた。第2話の時点では分からなかったが、ミカは容姿が原因で、周りから相手にされなかった過去を持つ。このことから「ありのままの自分は愛されない」というコンプレックスをかかえており、特に志摩の前では自分を偽っていた。それゆえ、自然体でみんなに受け入れられているみつみに嫉妬心を抱いていたのだ。

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