『unknown』『あのキス』貴島彩理Pのドラマに外れなし！ キャッチーな設定に潜む普遍性
また、『あのときキスしておけば』（テレビ朝日系）でもその普遍性は貫かれる。主人公・桃地のぞむ（松坂桃李）が愛する唯月巴（麻生久美子）が、見ず知らずの冴えないおじさん（井浦新）と入れ替わってしまうというファンタジー色の強さをリアルに接続したのは、他でもない大切な存在を信じたいと願う周囲の意志の強さだった。姿かたちを変えて帰ってきた大事な存在を何とか信じたい受け入れ側の想いの強さによって、それが嘘にはならない説得力を宿していた。年齢も性別も生も死も超えて人は誰かを愛せるし、愛したからこその喜びと同じだけの喪失感を味わうことがあっても、それもまた一部であってもちろんその全てがなくなるわけではないことを教えてくれた。
『星降る夜に』希望を描く一番星のようなドラマに 一星の“おせっかい”が深夜の心を救う
なんてやさしいラストなんだろうか。物事には始まりと終わりがある。それは始まった命が、やがて終わっていくように。すごく自然なこと。…
同じように、“生と死”がテーマの一つだったのは『星降る夜に』（テレビ朝日系）だ。鈴（吉高由里子）と一星（北村匠海）の真っ直ぐな愛情はもちろんだが、そこに深夜（ディーン・フジオカ）が加わった名もなき他人が規定できない関係性の頼もしさと心地良さ。そして、喪失感も理不尽な出来事も乗り越える必要なんてなく、それを抱えたまま生きていけることを見せてくれた。悲しみや痛みを抱えながら、その全てを打ち明けなくとも誰かと一緒に生きていくことはできるし、そのまま幸せを受け取ることもできる。
そんな貴島Pが手掛ける“本格ラブサスペンス”の本作は、まだまだ全容が見えないものの、悲劇の裏に潜んでいるのだろう“誰かが誰かを想う気持ち”をどう紡いでくれるのか、必見だ。
■放送情報
『unknown』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00～21:54放送
出演：高畑充希、田中圭、町田啓太、麻生久美子、吉田鋼太郎ほか
脚本：徳尾浩司
監督：瑠東東一郎、金井紘
音楽：河野伸
ゼネラルプロデューサー：大江達樹（テレビ朝日）
プロデューサー：貴島彩理（テレビ朝日）、岡美鶴（アズバーズ）
制作協力：アズバーズ
制作著作：テレビ朝日
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