『unknown』『あのキス』貴島彩理Pのドラマに外れなし! キャッチーな設定に潜む普遍性

『unknown』貴島Pのドラマに外れなし

 ついに身近なところで“吸血鬼殺人事件”の犠牲者が出てしまった『unknown』(テレビ朝日系)第5話。そんな中、第6話では毎話冒頭で徐々に明かされていたこころ(高畑充希)と虎松(田中圭)の血塗られたウエディング当日の様子が描かれ、その真相が明かされるようだ。

 本作は、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)チームが再結集した完全オリジナル作品であることが放送前から話題を集めていたが、プロデューサーを務める貴島彩理は時代を切り取りながらも、そこにいつの時代も変わらぬ“普遍性”を散りばめる手腕が見事だ。

 思えば、貴島が手掛ける作品は、一見したところ突拍子もなかったり、ファンタジーな設定が多いが、そんな彼らが当たり前に互いを想い合う気持ち、すれ違ったり傷付き悩む姿は、いわゆる“普通”と言われる多数派のケースと何ら変わりなく、日常の延長として描くことで、自分の中にも思い当たる感情があることを思い知らせてくれる。

 本作でもキャッチーな設定として、主人公のこころ一家が吸血鬼であることが描かれるが、愛する人に自身の秘密を明かすことへの恐怖心や葛藤、それを告げてしまえば元の関係には戻れなかったり、何かが決定的に違ってしまうのではないかという怯えは多かれ少なかれ誰しも身に覚えがあるものだろう。そして、それを乗り越えたこころが、今度は実は殺人犯の息子だったことを打ち明けられず苦しんでいた虎松の気持ちに寄り添い、そっとその重荷を背負ったままの彼を包み込む。

『おっさんずラブ』の魅力はなんだったのか? 私たちに教えてくれた“壁”の乗り越え方

4月クールのテレビドラマの中でSNSを中心に最も大きな話題を呼んだ深夜ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)が最終回を迎えて1…

 社会現象を巻き起こした『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)も、キャラクターが魅力的で、それぞれの俳優のこれまで見たことのない一面が引き出されたのはもちろんのこと、多くの人を魅了したのはその意外性だけではないだろう。作中とことんピュアに誰かが誰かを想う気持ちや、それを伝えることの難しさといった普遍性が真正面から描かれていた。ダメ男な春田創一(田中圭)を巡るドSな後輩・牧凌太(林遣都)と乙女上司・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)の掛け合いや成長物語だけでなく、彼らを見守る側もまた、自分のことより相手の幸せのために気がつけば動いてしまっているような優しい人たちばかりだった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる