『日曜の夜ぐらいは...』宝くじ当選金の新たな使い道 サチ×翔子×若葉、“3人”の可能性
「一緒にいたい、一緒に生きていきたい。山分けしないで3人で一緒にして、一緒に使ったら楽しいのにって思って」
3人バラバラだとパッとしなくて、周囲も皆、切羽詰まっていて余裕がない。なぜだか不幸を呼び寄せてしまう。「大丈夫? 不幸になってない?」。再会の第一声がこんな確認から始まるサチ(清野菜名)、若葉(生見愛瑠)、翔子(岸井ゆきの)。「絶対に絶対に幸せになろうね。不幸になっちゃダメだよ、絶対だよ」と言って別れたものの、やっぱりそれぞれの悲劇に見舞われ、絶望を味わった3人が宝くじの当選金の新たな使い道を見つけた 『日曜の夜ぐらいは...』(ABCテレビ・テレビ朝日系)第4話。
離婚した父親(尾美としのり)に金銭をたかられ、心底軽蔑してしまうような言動を目の当たりにしてしまったサチ。サチの母・邦子(和久井映見)はなぜこのハイエナのような男と家庭を築こうと思ったのだろうと疑問に思ってしまうほどに、今のところ全くもって良いところが見当たらない。
そして、若葉は悪魔のような母親(矢田亜希子)に全財産が入った通帳を手渡すも、事前に口座を分けておいたおかげでそこに宝くじの当選金は含まれていなかった。若葉が一生懸命頑張って貯めた92万円を容赦無く、呆気なく奪い去っていく母親の姿には絶句してしまう。しかし、若葉も“3人で山分けしたお金”だけは絶対に取られたくなかったとその一点については母親を前にしても揺るがぬ強い意志を持っており、あり得ないほどに残酷で理不尽な状況に見舞われた時にも自分以外に“守るべき約束”があるということは、強力な心の拠り所になるものだ。また、どれだけ物理的に一人だったとしても“こんな思いをしているのは自分だけじゃない”“一人じゃない”と思えることは、自分でも信じられないほどのエネルギーを引き出してくれるものだ。
それぞれに“友情の歴史”を持つ3人は、再会後人生をやり直しているかのごとく、何をしてもどこにいてもはしゃぐ。
サチは高校を中退して母親の介護をすることになった自分を心配してくれる親友がいたが、他人の優しさに気づくのにも、それを受け取るにも、自分の中に少しの勇気や余裕が必要なのだろう。その当時のサチは人に優しくされるのがとにかく嫌で、そんな親友に八つ当たりをしてしまい疎遠になった過去があった。
若葉の友情の歴史は“裏切り”。たった一人初めてできた友達は、結局本当の仲間の前で若葉のネタを披露するためにだけ、彼女と仲の良いポーズを取っていたのだった。
それに対して翔子は家族だけでなく仲間内でも居場所が常に不安定で、どこでも存在を軽んじられがちだ。なんだか空回りしがちで、本人はそうと自覚していないが、何か人をイラッとさせたり違和感を与える存在なのが翔子なのだろう。友情や友人関係にまつわる不安は絶えず、「振り返ったら2人がいなくなるんじゃないか」と今も怖さを抱えている。