『らんまん』東京編のイメージは『週刊少年ジャンプ』? 制作統括に聞く今後のポイント

『らんまん』東京編を制作統括に聞く

万太郎という“天才”をどう描くか

ーー牧野富太郎さんは90歳を越えるまでご存命だった方ですが、『らんまん』では彼の人生をどこまで描くかというのはもうすでに決まっているのでしょうか?

松川:決まってないです。94歳の最期まで描くのか、もっと手前なのか。寿恵子さんが亡くなってから、植物に「スエコザサ」という名前を命名するっていうのはやりたいんですけど。それが最終回なのか、それとも第24週あたりなのかは今のところ分からないです。

ーー身分制度や服装の変化など、江戸から明治へと時代が移り変わる過渡期だからこそ描けるものがあると感じています。

松川:明治時代が主になりますが、植物学も黎明期ですし、いろんな分野で芽が出始めた明るい時代というイメージがあって。時代考証にはたくさんの先生にブレストから参加していただいているんですが、東京編で万太郎くんが住む下宿の長屋が、江戸時代からそのまんまなんですね。明治になったからといって全てが洋風化したわけではなく、鹿鳴館のような建築物とそこに集まる人たちだけが洋風文化になっているだけであって、庶民の暮らしは江戸時代と地続きだった。その長い端境期が美術的にも面白くて。着物は着てるけど頭は散切りとか、英語も飛び交ったりするんだけど、でもベースはみんな江戸時代みたいなところが面白くてこだわっているところですね。

ーー万太郎や綾、竹雄がしがらみの中で自分らしい生き方を見つけ出していくというメッセージ性は、東京編でも一貫して描かれていく部分になるのでしょうか。

松川:以前、別の取材で「朝ドラの主演が男性で難しいと思いますか?」と聞かれた時に、「それよりは天才を主人公に描いていくことが難しい」と答えたことがあったんです。高知編の第5週では万太郎だけではなく綾、竹雄も自分の道というものを定めていきましたが、天才を描くにあたって天才になるまでをちゃんと描きましょうというのは長田さんと話していたんですね。牧野富太郎さんをはじめとした天才たちは、初めからブレなかったと思うんです。だけど、天才になるまでの葛藤というのを想像を膨らませて描いていく、等身大のキャラクターが人並みに悩みながらやっと自分の道を掴んでいくというのが高知編の5週目まででした。東京編ではそこが解放されて、実際の富太郎さんは周りに影響を与え、変化していく人だったと思うんです。彼自身が太陽のような存在になって、周りを照らし変わっていくという構図になっていくイメージがあります。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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