『だが、情熱はある』は中毒性のある不思議なドラマ “コンビ”という不思議な関係を知る
でも、自分がどれだけ努力をしても、“運命共同体”の片割れがサボっていたら、その努力が水の泡になってしまうのってもどかしい。他人とともに生きていくのは心強さはあるけれど、自分軸で生きられないもどかしさを感じなければならないのだ。
とくに、大学を卒業して、実家からの仕送りも途絶えてしまった山里は、“はやく何者かにならないと”と焦っていたのだろう。だから、がむしゃらに努力を続けた。しかし、努力をしたからといって、必ずしも夢が叶うわけじゃない。きっと、山里はそれを認められなかったのだと思う。
こんなに努力をしている自分が売れないのは、相方の頑張りが足りないせいだ。そう思い込ませることで、自分を見つめることから逃げていたのではないだろうか。人を責めていると、自分を責めなくてすむ。夢が叶わない言い訳だって、相手に押し付けることができるから。
結局、「足軽エンペラー」は解散してしまったけれど、もしあのままコンビを継続していたらどうなっていたのだろう。大喧嘩をしていたのに、最後の舞台にはちゃんと来てくれた和男。しかも、「山ちゃんは続ける人だから舞台を急にやめる人間なんて噂は流れてはいけないと思うから、行くわ」と言ってくれたらしい(山里亮太のTwitterより)。
あの舞台の直前に喧嘩して、来ないかもしれなかったけど来てくれた。
その時にかずおくんは
「山ちゃんは続ける人だから舞台を急にやめる人間なんて噂は流れてはいけないと思うから、行くわ」といってくれたのよね。 #だが情熱はある— 山里 亮太 (@YAMA414) April 30, 2023
「殺すぞ!」と言うほど憎んでいるはずなのに、やっぱり相方の幸せを考えてしまう。コンビというのはつくづく不思議な関係性だなと思わさせられた。
2021年、若林と山里による「たりないふたり」が、半年ぶりに夜の公演で対峙した密着映像。そのシーンが髙橋海人と森本慎太郎により再現されていたのだが、やっぱりどう見ても似ている。というより、本人たちそのものにしか見えなかった。もちろん、外見はまったく似ていないはずなのに。森本はツッコむ前に少し揺れる山里の癖を、髙橋はダルそうに立ちすくむ若林のただずまいそのものを見事に表現していた。
モノマネとも、再現VTRともまたちがう中毒性のある不思議なドラマ『だが、情熱はある』。“こっから”も、勢いを止めずに突っ走っていってほしい。
■放送情報
日曜ドラマ『だが、情熱はある』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
公式Twitter:@daga_jyounetsu