『ラストマン』心太朗が背負う闇の深さ 大泉洋が体現した人間ドラマの軸

『ラストマン』大泉洋が人間ドラマの軸を体現

 近い。近すぎる。至近距離で映し出される大泉洋の顔に、画面を凝視していた人は思わずのけぞったに違いない。『ラストマンー全盲の捜査官ー』(TBS系)第2話では、大泉演じる警部補・護道心太朗の過去が明かされた。

 合同捜査チームの華麗なるデビューとなった爆弾犯の逮捕に続く第2話では、12年前の事件と酷似する殺人事件の捜査が行われた。多摩川の支流、秋川の河川敷で女性の遺体が発見された。絞殺に使われたのはベルトで遺体にはローズの香りが漂っていた。12年前に心太朗が検挙した医師の青柳(浜田信也)による殺人と同じだった。

 ちょうど数カ月前に刑務所から出所した青柳を犯人であると目星をつけた心太朗と皆実(福山雅治)は、青柳が身を寄せるジャーナリストの新城(アキラ100%)宅を訪問。だが青柳は冤罪だと言い張り、強引に自供を引き出した心太朗の秘密を暴露する。12年前の青柳は誤認逮捕で、心太朗の実の父親は強盗殺人犯だと言うのだ。皆実は心太朗を連れて捜査本部へ。キャバクラで聞き込みをした皆実は違法行為の証拠を挙げて心太朗を糾弾した。

「あなたが犯人の逮捕に執着するのは、自分が正義の人間であることを証明するためなんじゃないですか?」

 優しかった実の父親は残虐な殺人犯で、心太朗の脳裏からはその記憶が消えない。殺害現場を目にすると殺したのは自分ではないかと疑い、それを打ち消そうとして犯人逮捕に必死になるあまり、違法スレスレの捜査を重ねる。本作のもう一人の主人公である心太朗が抱える闇の深さは想像以上だった。警察一家に引き取られてからも、2つの家族の間で引き裂かれてきた心太朗の人生を思うと胸が苦しい。心太朗の生い立ちを通して、人間ドラマとしてのもう一つの軸が現れていた。

 バディ解消を告げられ、自宅待機を命じられた心太朗が向かったのは殺害現場だった。何者かに襲われて暗転し、目を覚ました時には冷たい地面に横たわる心太朗。冒頭のシーンと重なる顔のアップで、違うのは今度は夢ではなく、今まさに犯罪が行われていることだった。青柳が復讐を果たそうとしたその時、聞こえてきたのは硬い物体が地面に規則的に当たる音だった。

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