新垣結衣は視聴者を味方につける 『風間公親-教場0-』で放った強烈な光
木村拓哉が、刑事指導官・風間公親に扮する『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)。第3話からは、風間道場の門下生として、シングルマザーの隼田聖子を演じる新垣結衣が登場し、新たな空気を『教場』シリーズへと吹き入れてみせた。そして、終盤のシーンで、彼女だからこその瞳の奥にある強烈な光を感じさせた。
冒頭から視聴者を味方につける新垣結衣の柔らかな威力
今作は、2020年、2021年に新春SPドラマとして放送され、好評を得た『教場』シリーズの前日譚となる連続ドラマ。第3話では大学の法医学教室を舞台に、次期医学科長に内定したばかりの椎垣教授(佐々木蔵之介)が、ミスを隠蔽するために、宇部助教授(浅利陽介)を自殺にみせかけ毒殺した事件が描かれた。
殺人事件解決を追う刑事ものでありつつ、『教場』での風間対生徒たちから、風間対ひとりの新人刑事と構図を変えながら、本作も、重きを指導対象の葛藤に置いている。そうしたなかで、シーズンを通じた縦軸として風間と“千枚通しの男”との事件が進行していくのが見どころになってくる。
さて、新垣演じる隼田は、第3話冒頭から登場した。忙しいなか、小学生の娘のために朝食を作り、夕飯の作り置きをする母。娘との「出来ることは一人で。できないことは二人で」との合言葉や、人差し指で互いの指を合わせたあと、自分のこめかみを指すポーズも破壊的にかわいらしい。見た目うんぬんを超えた空気が確実にあり、新垣には、眩しい朝のワンシーンだけで、視聴者を味方につけてしまう柔らかな威力がある。
『風間公親-教場0-』には、堀田真由演じる事務員の伊上幸葉や、濵田崇裕と結木滉星が演じる谷本・尾山の刑事コンビといった、作品のムードやテンポを変えて循環していくキャラクターが配されているが、それでも全体を覆う空気は重い。新垣は子どもたちと一緒にいるときもそうだが、自分より年下の相手と一緒にいる際の垣根がぐっと低いタイプに見える。それにより、相手との距離が近づく。幸葉、谷本・尾山コンビ、それぞれとのシーンも軽やかで、彼らの魅力も高めていた。