『だが、情熱はある』戸塚純貴演じる春日が面白すぎる 髙橋海人の相方である必然性

『だが、情熱はある』戸塚純貴=春日の面白さ

 戸塚がこれまで演じてきたのは、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)で不良少年・森生(杉野遥亮)のヤンキー仲間の花男役、『親バカ青春白書』(日本テレビ系)では底辺YouTuberネゴロ役と、いずれも“陽”一色の憎めないキャラクターだった。同じく戸塚がYouTuber役を演じた『ユーチューバーに娘はやらん!』(テレビ東京系)でのTAKTAKは、常識に囚われず自分が面白いと思うことには貪欲だが基本的には無欲で飄々としており、どこか掴みどころのない部分が本作での春日とも少しリンクする。

 若林が芸人になるため相方を探し始めるも、声をかければきっと賛同してくれる春日のことは最終手段としてとっておいたこと、そんな春日に電話であっけなく断られるシーンもまたリアルだった。お笑いの裏方をやりたいという夢を自身の知らぬところで膨らませていたり、意外とあっさり芸人の申し出を断ってきて急に常識的なことを言い出し、時に意表を突いてくるのも春日の飽きないところだ。「就活もあるし芸人やってる場合じゃないでしょ」と至極真っ当なことを言い出すのが若林の方ではなく春日なのも面白い。

 高校時代のあの日、部室で「私は若林くんのこと面白いと思ってますから」と事もなげに言う春日の言葉に、春日の強すぎる生命力に若林はなんだかんだ励まされていたところがあったのだろう。『少しでも人生を楽しくする本』に書かれていることにやけに忠実な若林に、淡々と表情一つ変えず突っ込む春日。きっと春日には元々それなりに人生を楽しめる能力が搭載されているにもかかわらず、気持ちよく若林に巻き込まれていくところが2人の組み合わせの妙だ。周囲の目を気にする自意識過剰気味の若林が逸脱したことをしようと足掻くには、春日のように、元々自然にしていてもどこか枠外にはみ出てしまっている相棒が必要だったのだろう。彼らの未来を占うプールでの我慢比べでの春日の表情がたまらなかった。

  春日の独特な間合いやどこか痛点が欠落しているようにも思える動じなさは既に健在だが、そんな春日の強みや武器を本人と若林はどのように磨きをかけ尖らせていくのか。これからその過程を戸塚を通して目の当たりにできるのが楽しみだ。

■放送情報
日曜ドラマ『だが、情熱はある』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、戸塚純貴、富田望生、三宅弘城、池津祥子、ヒコロヒー、渋谷凪咲(NMB48)、中田青渚、箭内夢菜、森本晋太郎(トンツカタン)、加賀翔(かが屋)、賀屋壮也(かが屋)、藤井隆、坂井真紀、白石加代子、光石研、薬師丸ひろ子
脚本:今井太郎
演出:狩山俊輔、伊藤彰記
プロデューサー:河野英裕、長田宙、阿利極
チーフプロデューサー:石尾純
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/daga-jyounetsu/
公式Twitter:@daga_jyounetsu

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