『だが、情熱はある』は人生の光明となる 髙橋海人×森本慎太郎に感じた圧倒的なリスペクト

『だが、情熱はある』は人生の光明となる

 今から約10年前、夜中にテレビをつけると、ふたりの男がセンターマイクを挟んで漫才をしていた。若林正恭(オードリー)と山里亮太(南海キャンディーズ)。彼らはユニット「たりないふたり」として、社交性、恋愛、テレビなど、自分たちの“たりない”を露わにして魂をぶつけあっていた。のちに彼らの人生はドラマとなるーー。

 『たりないふたり』(日本テレビ系)の視聴者の多くは、自分たちの“たりない”を代弁してくれるふたりの男にトリコとなった、心に抱えていたドス黒いモヤモヤを笑いでぶち壊してくれるこのユニットに想いを馳せた……。本人たちはそんなつもりはないのかもしれないが「これは俺のための番組だ」「これは私のための番組だ」と思えたのだ。

 4月9日にスタートした『だが、情熱はある』(日本テレビ系)は、若林と山里の半生をドラマ化した作品である。本作は、2021年に開催された無観客配信ライブ『明日のたりないふたり』のシーンで幕開け。このライブをもって「たりないふたり」は解散するという、ふたりを追いかけてきた人にとっては大切なライブである。

 そんないろんな人の想いが詰まったユニットだけに、髙橋海人(King & Prince)が若林を、森本慎太郎(SixTONES)が山里を演じると報じられたとき、心配の声が多数あがった。でも、きっと髙橋と森本のファンは安心していたことだろう。これまで多くのドラマ・映画で抜群の演技力を見せてくれた彼らならきっとやってくれる。そう信じていたはずだ。

 その思惑は見事に当たった。あれは、プロデューサーの島貴子(薬師丸ひろ子)がふたりの楽屋を訪ねた冒頭シーン。若林を演じる髙橋が「あ、もう時間ですよね。いつでもOKです」と返した一言で、誰もが度肝を抜かれた。声のトーン、ニュアンス、声色まで、すべてが若林そのもの。それは、山里役の森本も同じだった。放送開始たった1分で、すべての心配を吹き飛ばし「たりないふたり」のファンを納得させてしまったのだ。

King & Prince 髙橋海人の涙と決意の目 『だが、情熱はある』若林役を演じる意義とは

オードリーの若林正恭と南海キャンディーズの山里亮太の半生を描いた『だが、情熱はある』が、4月9日より日本テレビ系でスタートした。…

 そのあとの漫才の挨拶も圧巻。銀杏BOYZの「BABY BABY」が流れて出てきたふたりは、もう若林と山里だった。話し方から立ち振る舞いから、もう何もかも……。約2年前に『明日のたりないふたり』を目撃した人にとっては、きっと胸にくるものがあったはず。私もそのひとりだ。あのライブを思い出して冒頭から涙が止まらなかった。

 第1話は、ライブ会場のセットをはじめ、衣装、小道具、そして若林と山里の著書・ラジオで述べられたエピソードが脚本に落とし込まれている点など、彼らの歴史が見事に再現されていた。本人と連絡をとって役づくりをしているという髙橋や森本だけではなく、キャスト、スタッフ、ナレーションを務めた水卜麻美アナウンサーにも情熱はあって、「たりないふたり」へのリスペクトと、ファンの想いを汲んだ作品づくりをしているのが伝わってきた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる