『らんまん』『エール』『カムカムエヴリバディ』朝ドラに登場の美しい“祭り”を振り返る

朝ドラで重要な役割を果たしてきた“祭り”

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第4週となる「ササユリ」が放送された。万太郎(神木隆之介)は早川逸馬(宮野真守)との出会いを通し、「自由」について考えはじめる。その一方で、綾(佐久間由衣)の恋は急展開を迎えた。さらには竹雄(志尊淳)の切ない恋心も明かされる。

 いとこでありながら姉弟として育った万太郎との結婚を言い渡された綾。これは植物に夢中で当主の務めが果たせない万太郎と、女性であるのに酒作りに熱心すぎる綾について、全てを丸く収めるためにタキ(松坂慶子)が考えた苦肉の策だった。だがこれに酷く傷ついた綾は、家を飛び出してしまう。「好きな人がいる」と言って向かった先は、思いを寄せる幸吉(笠松将)の元だ。だがそこには、畑仕事をする幸吉の汗を拭う女性の姿が。幸吉には妻がいたのだ。絶望した綾は、高知に行ってしまう。

 その綾を追ってきたのが、竹雄だ。竹雄は密かにずっと綾のことを慕い続けてきた。万太郎が他所にでかけ2人きりになった綾と竹雄は、お互いの心の中にある様々な気持ちを打ち明け合う。だが、竹雄は綾にたいする恋心がどれだけこぼれそうになろうとも、身分の差から「好き」とだけは伝えられないでいた。おそらく綾も気持ちに気づいているのかもしれないが、だからといってどうにもできない現実に胸が痛む。

 どこからか聞こえてくる囃子と歌声に誘われるように2人は祭りに参加する。綾は竹雄の腕を取り踊りの輪に入っていった。幻想的な夜の祭りで、全てを忘れ“よしや節”を踊る夢のようなひとときを過ごす2人の笑顔が美しくも切ない。竹雄の静かに燃える恋心は、祭りの提灯のように優しく暖かく灯り続けた。いつまでもこの時間が続けばいいのにと、そう願わずにはいられないシーンであった。

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