『らんまん』『エール』『カムカムエヴリバディ』朝ドラに登場の美しい“祭り”を振り返る

朝ドラで重要な役割を果たしてきた“祭り”

 朝ドラで数多く描かれてきた「祭り」のシチュエーションは恋を結びつける役割をしてきた。『わろてんか』(NHK総合)では“薬祭り”で、幼少期のヒロイン・てん(新井美羽)が後の夫となる藤吉(松坂桃李)と偶然の出会いを果たす。2人は文通を続け、やがて大人になったてん(葵わかな)は藤吉とめでたく結婚することになる。

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 『エール』(NHK総合)では主人公の裕一(窪田正孝)が音(二階堂ふみ)の実家を訪れ、浴衣姿で仲良くお祭りを楽しんだ。さらに『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)では、なんと3人の主人公の全員が夏祭りに出かけている。安子(上白石萌音)は稔(松村北斗)と、るい(深津絵里)は錠一郎(オダギリジョー)と。そして、ひなた(川栄李奈)は文四郎(本郷奏多)と祭りに出かけ、このときに恋人同士になったのだ。ときめきあふれる文四郎の告白シーンは視聴者からも反響の多い回だった。

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 これまでの朝ドラにおいても、後に繋げる大切なシーンとして描かれてきた祭り。『らんまん』での祭りについてSNS上では「2人のシーンがとても美しくて、涙が出る」、「綾に手を引かれる竹雄の顔が輝いていてステキ」などその切ない恋模様に胸を打たれた視聴者が多い様子。

 綾と竹雄が高知で踊っていた“よしや節”は、実は自由民権運動の活動の場で自由や平等の思想を求めて歌われた歌だ。祭りの時にだけすべてを忘れて伸び伸びと過ごした2人だが、いつか身分などに縛られず、軽やかに踊るような日常が送れたら、そんなことを考えてしまう。

参照

・高橋美樹『高知よさこい祭り前史にみるシンボル・イメージの創造』(高知大学教育学部研究報告)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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