『水星の魔女』“裏主人公”グエルがどん底から這い上がる それぞれの父と子の関係性
だが、セドがジェターク社が潰れるという話を口にした途端、グエルは目の色を変えてオルコットに詳細を教えてくれと懇願する。これがジェターク社の御曹司であるグエルという男なのだ。ここまで甲斐性のある男はグエルくらいだろう。そもそもなぜこれだけの男なのにも関わらず、ミオリネとはこうも相性が悪いのだろうか……というのはさておいて、第15話でグエルは裏主人公のような活躍を見せていくことになる。アジトが襲撃にあい、シーシアが重傷を負ってしまうと、グエルは彼女を担いで外へと走り出していく。シーシアが「何をしたいんだ、お前?」と問いかけると、グエルは息を切らしながら「分からない。何がしたいんだ、俺は」と答える。理屈ではなく衝動。それは彼が今できる唯一の行動だった。心身が疲弊した状態でこの行動に移せる思考はまさに主人公だ。そしてグエルは決断した、シーシアを助けるという選択を。だが、グエルの勇気も虚しく、シーシアは息を引き取ってしまった。一方でグエルのこの行動で助けられたものもある。オルコットや避難民の命だ。
「父さんって聞こえたから、助けてほしかったんじゃないかって」。オルコットにグエルが言ったこの言葉はオルコットが忘れようとしていた息子の最期を思い出させるものだった。そしてオルコットはそんなグエルの姿を見て、自分の息子と重ね合わせていたのではないか。
「これ以上、なくしたくないんだ。俺と父さんを繋ぐもの」
グエルはもう前を向いていた。ホルダーとしての栄誉を失っただけではなく、父親すらも自らの手で消してしまい、自らの存在価値が揺らぎ始めていたが、グエルにとってジェターク社は唯一の父親との繋がりを感じられるものだった。どん底から這い上がった人間は強い。裏主人公としてファンからの人気も根強いグエルが活躍した回とあって非常に盛り上がった第15話。この先、グエルの主人公的な活躍を見ることができるのだろうか。
■放送情報
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』
Season2:MBS/TBS系全国28局ネットにて、毎週日曜17:00〜放送
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:小林寛
出演:市ノ瀬加那(スレッタ・マーキュリー)、Lynn(ミオリネ・レンブラン)、阿座上洋平(グエル・ジェターク)、 花江夏樹(エラン・ケレス)、古川慎(シャディク・ゼネリ)
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵、
キャラクターデザイン:戸井田珠里、高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED、海老川兼武、稲田航、形部一平、寺岡賢司、柳瀬敬之
音楽:大間々昂
©創通・サンライズ・MBS
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