2023.04.18 12:00

本郷奏多「僕も陽キャになったほうがいい？」　“社会不適合者な役”からの脱却に悩み

文・取材＝nakamura omame、写真＝三橋優美子

やっぱり僕も、陽キャになったほうがいい？

――少しお話が戻りますが、コメディであろうと、たとえばラブストーリーであろうと、意識的に演じ方に変化をつけることはないんですか？

本郷：ないですね。僕は、監督に言われたことをやるのが一番だと思っていて。監督とシーンごとにディスカッションして、「どういうふうに見えた方がいいですか？」と要望を聞いて、その通りにアウトプットすることが僕の仕事だと思っているんです。なので、現場で「もうちょっとこうして」と言われことに対して、その通りに変化させて演じるようにしています。

――ご自身から、監督に提案するようなこともあまりない？

本郷：演じてみて気になったことについては、「提案」という形で聞くことはあります。でも、押し通すことは絶対にしないようにしています。

――ちなみに本作で、そういったところはありましたか？

本郷：細々していて説明は難しいんですけど、「これは前のシーンがこうだから、郷の心情的にはこっち寄りですよね」みたいなことはありました。あとは、一緒にお芝居する役者さんのテンション感に応じて変わってくることもあります。

――今回主演ということで、助演との違いについても伺いたかったのですが、そのあたりも特に変わりはないですか？

本郷：主演だからとか、一緒にやる人が先輩だから、年下だから、ということで何かを変えることはないですね。どの現場でも、どの立場でも、なるべく現場がスムーズに進むように、僕はバランスを取って周囲に合わせているつもりです。

――主演だからと気負うこともなく、現場にいらっしゃったんですね。

本郷：「よしっ、みんなで頑張っていくぞ！」とチームを作るような明るい俳優さんもいっぱいいて、すごく素敵だと思いますし、自分には頑張ってもできないことなので、本当に尊敬します。でも、僕にはそれができないからこそ、与えられたことに100%で応える。それが自分の役割だと思っているので、そこだけを一生懸命やっています。どちらかというと、僕は技術屋の考え方に近いのかもしれないですね。

――今回は現場にも若いスタッフの方が多かったそうですが、刺激を受けたことはありましたか？

本郷：毎日ギュッと朝から晩までスケジュールが詰め込まれていたんですけど、みんなが元気ならなんとかなるというか。みなさん明るくてエネルギッシュで、そういう雰囲気にすごく助けられました。

――現場の雰囲気は大事ですよね。

本郷：本当にそうなんですよね……やっぱり僕も、陽キャになったほうがいいですかね（笑）？

――（笑）。荒木飛羽さん演じる勝は“とある能力”に長けていますが、本郷さんご自身が他の人より長けていると思う能力はありますか？

本郷：僕、反射神経がすごく良くて、急に落下したものを受け止める能力がずば抜けて高いんですよ。（当時の様子を再現しながら）一度、冷蔵庫を漁っていたときに、上から卵が落ちてきたことがあって。すでに手を出しても間に合わないところまで来ていたので、足でトラップして、卵を割らずにキャッチすることに成功しました。だから、瞬間的に最大限の反射神経を出す能力に長けている。でもこれって、「今からやります！」といって発揮できるものじゃないので、証明できないのが辛いんですよね。何かトラブルが起きて、初めて活きる能力なので（笑）。

――ドッキリとかで、前から卵が飛んできたらどうですか？

本郷：そのときは、もうすごい速さでスパッとキャッチできると思います。

――ここでこの話をしていたら、ドッキリが来るかもしれないですよ？

本郷：ドッキリ……ないと信じています（笑）。

“大人がやる役”もやっていきたい

――今回、本郷さんがもう30代なんだなと改めて驚きながらプロフィールを拝見したのですが、ご自身の中では“もう30代”でしょうか、それとも“やっと30代”？

本郷：気づいたら、30代になってましたね。でも、本当にいろんなお仕事をやらせていただいて、人生も充実していましたし、あっという間だなという感覚もなくて。30代になったから何か環境が変わったわけでもないですし、まだまだ元気に頑張りたいと思います。

――年齢によって、演じられる役は変わってくるのかなと思います。

本郷：変わっていかなきゃいけないよなと思いつつ、あまり変わっていない気がします。年齢より若く見られがちだけど、いずれはいい感じに渋い役者にシフトしていかなきゃいけないので、そこをどう乗り越えていくか。こちらが仕事を選べる立場ではないので難しいんですけど、いつかはやったことのない“父親役”とかが来る機会があると思うので、その1作目をしっかりと演じきって、新たなイメージを作っていかなきゃいけないな、というところですね。

――そう考えると、これだけ俳優歴が長くても、まだやられていない役がたくさんあるんですね。

本郷：たくさんありますし、逆に言うと、ほとんどまともな職業に就いたことがないです（笑）。僕はだいたい人に命を狙われているか、人の命を狙っているか。医者役や先生役すらやったことがないので、そろそろ社会不適合者な役からも時には抜け出していかなきゃなと思いますね。ちゃんと“大人がやる役”もやっていきたいです。そのためにも、今後もいただいたお仕事に真摯に向き合っていこうと思います。

■放送情報
火曜ACTION！『クライムファミリー』
フジテレビにて放送（関東ローカル）
4月18日（火）24:35～25:05
4月25日（火）24:25～24:55
5月2日（火）24:25～24:55
出演：本郷奏多、大倉孝二、真飛聖、吉田美月喜、荒木飛羽ほか
脚本：伊藤優、北浦勝大
プロデュース：江花松樹
演出：相沢秀幸
主題歌：ヤングスキニー『ゴミ人間、俺』（SPEEDSTAR RECORDS）
音楽：植田能平
制作：フジテレビドラマ・映画制作部
制作著作：フジテレビジョン
©︎フジテレビ
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