本郷奏多「僕も陽キャになったほうがいい?」 “社会不適合者な役”からの脱却に悩み

本郷奏多、“大人がやる役”もやりたい

 連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)や映画『シン・仮面ライダー』など、話題作で存在感を残し続け、YouTubeなどにも精力的に活動の幅を広げている俳優・本郷奏多。

 そして、現在主演を務めているのが、フジテレビドラマのヤングクリエイターたちが月替わりで送る「火曜ACTION!」枠で放送中の新ドラマ『クライムファミリー』。本郷が本作で演じる主人公・松田郷は、天涯孤独にして一文無しの詐欺師。金をだまし取るために家庭教師と偽りある一家に潜入するが、その一家はそれぞれ犯罪に手を染める“犯罪一家”だったと判明することから始まるブラックコメディーだ。

 今回、撮影時に“タライを受けた”という、コメディドラマならではの撮影についてや、主演としての考えについて本郷へインタビュー。長い俳優人生のなかでも変わらない俳優としての姿勢を探っていく。

人生で初めて頭でタライを受けました(笑)

――第一報の際に「面白そうな企画だったので、“是非演じてみたい!”と思いました」とコメントされていましたが、ふだんからそういった想いを基準にして、お仕事を受けていらっしゃるのでしょうか。

本郷奏多(以下、本郷):いろいろと考える要素はあるんですけど、基本的にいただいたお仕事はなるべくやらせていただきたいなという気持ちでいます。今回に関しては、企画書の1、2行の文章を読んだだけで、すごくワクワクして。そこから台本を読んで、スピーディーで面白そうだなという印象を受けました。

――「いただいたお仕事はなるべく受けたい」というのは、選んでしまうと作品に偏りが出る、みたいなことですか?

本郷:いや、そういうことではないです。役者はあくまで下請けの立場だと思っているので、いただいたお仕事をやっていきたいな、という感じですね。

――キャリアを積んでも、その感覚は変わらないと。

本郷:そうですね。決して何百個も仕事があるわけではないので、その姿勢はずっと変わっていないです。

――今回はコメディ作品ですが、クランクイン前のお気持ちはいかがでしたか?

本郷:コメディっぽいものを全くやったことがないわけではないので、そんなに意識したり、構えることなく撮影に入れたと思います。

――台本を読ませていただいて、“頭にタライが落ちてくる”とあったのですが……。

本郷:はい、人生で初めて頭でタライを受けました(笑)。最初、現場に行ったら「プラスチックの方が優しいかなと思ってタライ風に塗装したものを用意したんですけど、結局タライの方がマシかなと思いましたので、タライでやっていただきます」と言われて。全然問題ないですし、わざわざ特別なものを作っていただかなくていいんですけど、「1個作ってダメだったら、タライに戻るんだ」とは思いました(笑)。「プラスチックがダメだったら『もっと柔らかいもので作ろう』じゃなくて、タライに戻るんだな」と、ほんの一瞬だけ……いや、全然やるんですけどね!(笑)

――(笑)。実際にタライを受けてみていかがでしたか?

本郷:音は派手だけど、意外と大丈夫でしたよ(笑)! 

――コメディならではの難しさや面白さは感じましたか?

本郷:どうなんですかね……正直、そんなに考えて挑んでいないんです。それぞれの作品において、あくまで台本に書いてあることをやっているだけなので。でも、今回は振り回されてるさまを面白く見せることが大切だと思ったので、ワチャワチャしながら演じるようにしました。そうしたら、詐欺師なのにあまり頭が良く見えなくなってしまいました。

――不本意ですか?

本郷:いや、それでいいし、それが正しかったと思っています。台本を読んだ印象でも、郷はきっと根は悪い人ではなくて、心の奥底には優しい気持ちを持っている人だと思っていました。だから、どこかちょっと抜けている部分もあって、愛せるキャラクターにできたらいいなと。観ている方が、主人公を嫌いにならないように演じたつもりです。

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