『らんまん』子役パートが果たす“伏線”の役割 坂本龍馬&池田蘭光が物語のテーマを示す

『らんまん』子役パートが果たす伏線の役割

 なぜ、みんなは走っているのに自分は走ってはいけないのか。どうして、神様はみんなと同じように自分を丈夫な身体にしてくれなかったのか。どうして、酒造りに興味津々の姉・綾(太田結乃/高橋真彩)は女というだけで跡を継げず、綾とは違って家業にさほど興味の持てない自分が男というだけで跡を継がねばならないのか。

 そんな万太郎の「なぜ? どうして?」に多くの人は「そういうものだから」としか答えてくれなかったが、“天狗”こと坂本龍馬(ディーン・フジオカ)と、池田蘭光(寺脇康文)は違った。天狗は「無駄な命など一つもなく、誰しも自分の務めを持って生まれてくる」とした上で、万太郎に「お前の望みは何か」と問うた。その結果、万太郎は「花の名前が知りたい」という、誰にも定められることのない自分の心と向き合うこととなる。それでも、峰屋の当主という定めからは逃れられぬと思っていた万太郎に、「これからはしきたりにとらわれず、変わるべきだ」と教えてくれたのが蘭光だ。

 普通の大人とはちょっと違う2人が万太郎に与えてくれたのは、自分だけの芽を吹かせる自由。それが、本作で描かれる「ただひたすら愛する草花と向き合い、明るいまなざしで生命の多様性を肯定し続けた万太郎の喜びと感動に満ちた人生」の土台になることは間違いない。朝ドラの幼少期パートは、いわば世界一重要なプロローグ。ついに主演の神木隆之介が万太郎を演じる第3週が始まる前に、週末の幼少期編の振り返り放送でこれまでの物語をしっかりおさらいしたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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