『わたしの幸せな結婚』のヒットで次を探す動きも？　“なろう”発の恋愛小説が続々映像化　

『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』

　1月から3月までTVアニメが放送された『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』も、佐伯さんによる「小説化になろう」の連載がアニメ化された、異世界転生ものではないラブストーリー。高校に入ってひとり暮らしを始めた藤宮周が、近所の公園で雨の中、ブランコを漕いでいた同じ高校に通う椎名真昼を見かけて声をかける。真昼は同じ建物の隣に住んでいる隣人でもあった。

　親しい関係ではまったくなく、文武両道と学校でも評判の“天使様”と自分とは無縁だと周は思っていた。貸した傘を返してくれただけに留まらず、病気になった周を看病して食事を作り、散らかっていた部屋も片付けてくれたのも、傘のお礼に過ぎないと思っていたら、なぜか真昼が周にご飯を作ってあげるようになり、そしてより深い関係になっていく。

　完璧に見えてかわいらしいところもある真昼の声を、映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』でマキアという主役の少女を演じた石見舞菜香が演じて、原作のイラストやコミックから抜けだしてきたような存在ぶりを見せてくれた。淡々と進み、少しずつ近づいていく真昼と周の関係も、もどかしさが逆に期待を誘って目を離せなくさせた。それぞれ過去に傷を負っていて、孤独を好みながらも人恋しい気持ちを持っているキャラクターが、コロナ禍もあって交流の途絶えた人たちの寂しい気持ちに重なったことも、人気の背景にありそうだ。

　この先も、日向夏『薬屋のひとりごと』や燦々SUN『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』のように、異世界転生ではない「小説化になろう」発の作品がアニメ化されて、“なろう系”ではないなろう作品の存在を広く見せつけそうだ。「カクヨム」や「野いちご」「ノベマ！」といったサイトでも、異世界転生ではない恋愛系の作品が多く登場して次の展開を待っている。『わたしの幸せな結婚』のヒットで“次”を探す動きが強まるかもしれない。

■公開情報
『わたしの幸せな結婚』
全国公開中
出演：目黒蓮（Snow Man）、今田美桜、渡邊圭祐、大西流星（なにわ男子）、前田旺志郎、髙石あかり、小越勇輝、佐藤新（IMPACTors／ジャニーズJr.）西垣匠、松島庄汰、髙橋大翔、珠城りょう、小林涼子、浜田学、山本未來、山口紗弥加、平山祐介、高橋努、津田健次郎、尾上右近、土屋太鳳（特別出演）、火野正平、石橋蓮司
監督：塚原あゆ子
脚本：菅野友恵
原作：顎木あくみ『わたしの幸せな結婚』（富士見L文庫／KADOKAWA）
※コミカライズ：原作・顎木あくみ／漫画・高坂りと／キャラクター原案・月岡月穂（ガンガンONLINEにて連載中／スクウェア・エニックス）
主題歌：Snow Man「タペストリー」（MENT RECORDING）
制作プロダクション：TBSスパークル
配給：東宝
製作委員会： KADOKAWA、東宝、TBSほか
©︎2023映画『わたしの幸せな結婚』製作委員会
公式サイト：https://watakon-movie.jp
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