『罠の戦争』草彅剛が体現する“正義”と“悪” 権力に染まってしまった鷲津は元に戻れるのか

『罠の戦争』草彅剛が体現する正義と悪

 日常生活でも、悪を懲らしめるための正義が、行きすぎた結果、“悪”になってしまう瞬間がある。たとえば、いじめられている子をかばうために、いじめっ子に嫌がらせをしてみたり。パワハラに苦しんでいる蛍原(小野花梨)を守るため、虻川(田口浩正)を陥れた鷲津も、正義といえば正義だが、視点を変えたら悪になる可能性もある。

 そして、現実世界はアニメや漫画とはちがい、痛めつけた“悪”が「バイバイキーン」と去っていってくれるわけでもない。人間の恨みというものは根深いのだ。鷲津に失脚させられた虻川が舞い戻ってきたように。恨みを買ったぶんだけ、ピンチになった時に復讐を挑まれる。

 もちろん、全人類から愛されるのなんて無理だし、誰からも恨みを買わずに生きていける人なんてそういない。でも、自分がうまくいっている時こそ、周囲に気を配る。波に乗っていると、すべてが思い通りになるような気になって、調子に乗ってしまうこともあるだろう。

 ただ、そこで一瞬でも、ピンチになった時のことを考えられていたら。そして、“悪”にも心があり、一度倒れてもまた立ち上がる可能性があることを認識できていたら。鷲津がここまでピンチに陥ることもなかったはずだ。

「鷲津亨を、許さない。絶対に、許さないって」

 現状、いちばん近しい人物の恨みまで買ってしまっている鷲津。今は権力に染まってしまっているが、最後にはあの頃の自分を思い出すことができるのだろうか。権力を失ってしまってもいい。ただ、可南子(井川遥)と泰生と笑い合う姿を見せてくれたら。そして、蛯沢(杉野遥亮)が楽しそうに、鷲津に植物の話をする姿が見られますように。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる