『100万回 言えばよかった』“白いねこ”に込められた願い 直木と悠依が過ごした奇跡の1日

『100万回 言えばよかった』とねこの関係

 「よかったね、こういう時間が持てて」と言わずにはいられない幸せに満ちた時間だった。金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系)最終話は、成仏して消えてしまったと思われた幽霊の直木(佐藤健)が、実体化して悠依(井上真央)の前に現れ、最後の1日を共に過ごすことに。

 事件が解決し、直木の「悠依を守る」という思い残しは達成された。でも、直木にはまだまだやりたいことがあった。もちろん、1番はこの先もずっと悠依と共に幸せに生きていくことだけれど。残念ながらそれはもう叶わない。ならば、せめてもう一度目を見て話し、抱きしめて体温を感じたい……。そんなすぐにでも叶えられる願いを全部やる、そんな1日が与えられたのだ。

 そうと決まれば、感傷的になっている暇なんてない。まずは腹ごしらえだ。あの夜、一緒に食べるはずだったハンバーグを口いっぱいに頬張る2人。いつも素直な気持ちを言葉にすることが苦手だった直木も、この日ばかりは「すげぇ幸せ」と本音を口にする。だって、恥ずかしがっている場合じゃないから。もう「あのとき言えばよかった」をひとつも残さないように。今、この瞬間を精いっぱい生きるつもりで。

 そんな貴重な時間を使って、まず感謝を伝えたい人に会おうと考えるのも、律儀な直木らしいところ。その気持ちに寄り添う悠依も同様だ。「本当にあなたたちはどこまでも(いい人なんだから)」と2人のことがますます愛しくなる。譲(松山ケンイチ)と口を揃えて「いやー、ずっと見てたーい」と言いたい気分だ。また、悠依のしたかったことに応えるのも、直木が叶えたかった願いのひとつだ。2人でのショッピングデート。「どっちがいい?」と悠依が直木に選ばせた2着のワンピースは、どこか絵本『100万回生きたねこ』のねこと白ねこを彷彿とさせる色味だった。

 白を貴重としたワンピースを選んだ直木を見て、幽霊として存在していることを悠依に知らせようと、譲に「悠依は白いねこ」と伝えたことを思い出す。黒い服を着た直木と、白い服を着た悠依。その服装と、かつての「悠依は白いねこ」発言から、2人がすっかり『100万回生きたねこ』のねこと白いねこに見えてきた。それは、改めてその絵本に目を通した譲も同じだったに違いない。

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