『100万回 言えばよかった』磯山晶Pが語る、井上真央×佐藤健×松山ケンイチとのドラマ作り

磯山晶Pが語る、井上真央らとのドラマ作り

 井上真央、佐藤健、松山ケンイチらによるファンタジーラブストーリー『100万回 言えばよかった』(TBS系)。本作でプロデューサーを務めるのが、『G線上のあなたと私』(以下、『G線上』)、『恋はつづくよどこまでも』(以下、『恋つづ』)、『恋する母たち』、『俺の家の話』などを手がけてきたTBSの磯山晶だ。

 佐藤とは『恋つづ』以来、本作の脚本を手がける安達奈緒子とは『G線上』以来の再タッグとなる磯山プロデューサー。撮影現場で演者たちの芝居を目の当たりにしている感触や、こだわりのシーン作りについて話を聞いた。

役者同士のプロの技が繰り広げられている

――井上真央さんとは初タッグですが、印象はいかがですか?

磯山晶(以下、磯山):まず台本に対する理解力がすごく深くて、直木(佐藤健)や譲(松山ケンイチ)がこれだとちょっと不自然になっちゃう……みたいなときに、「じゃあ、私がこうすれば」と動く方向性がすごく的確で、悠依(井上真央)という人のキャラクターの情景がまったくブレないというか。すごく頭が良くて、しかもそれを体現できる。表現力が豊かで、何よりかわいくて、本当に稀有な女優さんだなと思います。

――佐藤健さんは幽霊役ということで、どのようなお話を?

磯山:最初は、とにかく「視聴者の方がどんな幽霊のシーンが見たいかを想像して、そういうシーンをなるべく作りましょう」という話をしてたんですよね。たとえば、こっちにいると思って喋っていたら違う方にいるとか、すり抜けられちゃうとか。「なんで俺は幽霊なんだ」ということではなくて、観た人がクスッと笑えるようなシーンにするためにアイデアを出し合いましょう、と。でも最近は、愛する人を守れない、気持ちが伝えられない悲しさとか、もはや現世には戻れないことに対して「じゃあどうしたらいいか」と考えるようなことが多くなりました。より内面的なことを含めて、最終回に向けてどうすべきかをみんなで話しています。

――みなさんでお話しされるんですね。それが台本に反映されることもあるのでしょうか?

磯山:ストーリーが変わることはないですけど、ディテールですよね。「どうなるべきか」「私は(僕は)こうしたい」とよくおっしゃる3人組なので、気持ちの部分とかを話し合っています。

――松山ケンイチさんは、直木に乗り移られるシーンも印象的です。

磯山:一回、佐藤さんが全部やって、それを見て松山さんがやられるんですけど、一回しか見ていないのにすごいなっていつも思います。「あそこ、すごく似てたね」と言ったら、「あれはたぶん、健くんがわざとそこを強めにやってくれたんだと思います」って。2人の間に信頼もありますし、役者同士のプロの技が繰り広げられているみたいです。

――これまでに放送された回で、特にこだわったシーンを教えてください。

磯山:直木が見えるカットと見えないカットがあるんですけど、引きのカットには直木がいない(※映さない)という約束でやっていて、ウエストショットとか全身ショットくらいからは直木がいる(※映る)んです。でも、第4話の橋の上で口笛が聞こえてくるシーンを撮るときに、初めて“直木がいるんだけど映してない”ということをやってみました。それがすごくうまくいって、切なく撮れたなと思っています。

――監督とも、初めからそういう演出でいこうとお話されていたんですか?

磯山:台本上は“いる”と書いてあって、初めはいつも通りに撮ろうかなと思っていました。でも、第4話では直木の遺体が見つかって、本当に辛くて2人が一緒にいれなくなってしまった。そうして1人になった悠依が、歩けなくなってしゃがむようなシーンだったので、「ずっと直木がいて“ある瞬間”に口笛を吹くよりは、口笛から来た方がいいかも」という話になり、「それ新しいからやってみよう」と。日々、いろいろな人との相談によっていろいろと変わってきていますが、あのシーンはそうしてよかったなと思っています。

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