『Get Ready!』妻夫木聡が見せたアナザーサイド 二項対立を脱却し日曜劇場の転換点に

『Get Ready!』日曜劇場の転換点に

 仮面が剥がれ落ちる時、すべての真実が明らかになる。『Get Ready!』(TBS系)最終話では、エース(妻夫木聡)率いる闇医者チームが最後の手術に挑んだ。

 最後の患者は重症の左心低形成症候群を患う結衣(小田愛結)。結衣は余命3カ月を宣告されており、母親の香苗(徳永えり)は闇医者チーム、通称「仮面ドクターズ」に手術を依頼する。手術に応じることにしたエースの脳裏に過去の記憶がよみがえる。13年前、臓器を移植できずに死なせてしまった青葉(志水心音)と同じ失敗を繰り返してしまうことをエースは恐れていた。

 仮面ドクターズを追う警視庁副総監の高城(沢村一樹)は、執刀医の正体をエースの本名、天野真一と特定。“ジョーカー”下山田(藤原竜也)を取り調べて自白を引き出そうとするが、下山田は口を割らない。思案の末、高城は自らの過去を語り出した。

「もし君たちがいたなら(中略)救えるのかな」

 高城の妹は左心低形成症候群で若くして亡くなった。「君たちは今、法を破って命を救おうとしている。我々は法に従って命を奪うことになるかもしれない。正義とは悩ましいものです。その正義の運命を握っているのは君だ」。禅問答のような問いかけの意味は後に明かされるが、同じ小学生の子どもを持つ親として、ジョーカーと高城は一致点を見出した。

 なぜ社会は闇医者を必要とするのか。あるいは闇医者にしか救えないものがあるとして、それはいったい何なのか。素顔を見せない匿名の存在であり続けた仮面ドクターズ。仮面を剥ぎ取り、素顔を見せた相手は、エースにとってどうしても救わなくてはならない人だった。

 謎の運び屋(鈴木亮平)の助けを借りながら、クイーン(松下奈緒)とスペード(日向亘)は結衣をオペルームへ移送。別行動のエースは、思いがけず青葉の母である広江(菊池亜希子)と出会う。13年前、「娘に生きる価値はなかったのか」と悲痛に訴えた広江は、臓器移植を希望する子どもの支援に取り組んでいた。広江は、青葉の命日に毎年匿名で多額の寄付がされると言い、多くの命が救われたと話す。これからも多くの命を救ってほしいと広江に請われ、エースはメスを握る。困難な手術に挑んでいた同じ頃、警察も仮面ドクターズのアジトに踏み込もうとしていた。

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