『離婚弁護士シン・ソンハン』チョ・スンウが華麗に転身 リーガルドラマの名作誕生の予感

『離婚弁護士シン・ソンハン』は名作の予感

 いがみ合い、複雑に絡み合う離婚裁判とともに、ソンハンがピアニストでありながら、弁護士に転身したきっかけが、過去に起きたつらい出来事であることを匂わせる場面がいくつか盛り込まれる。中でも、第2話ラストで次のクライアントの修羅場に重なり、ソンハンが路上ピアノを見つめるシーンで起きる、一連のフラッシュバックからラストに繋がるまでの演出の流れは、身震いするほど秀逸だ。

 ソンハンが、路上にあるピアノに目を止め、しばらくの間そうして眺めていたのであろう、痛ましげで切なげで愛おしくてたまらない表情で立っている。顔を見るだけでソンハンの心のうちがわかるチョ・スンウの天性の俳優たる演技。ゆっくりとピアノに近づき手を伸ばす叙情的な雰囲気の中、去っていこうとするソンハン。ノスタルジックで感傷的な場面で、ソンハンの心情が伝わってきて観る側も引き込まれる。ソンハンは、フラフラと酔客のように、魅入られ、抗えないようにピアノに吸い寄せられていく。ピアノと会話するソンハンに訪れる静粛。背後に流れる水の音。ソンハンが、自分に課していた掟を破るかのように、抑えきれない思いの丈を、迫力のあるシューベルトの「魔王」として演奏した時に肌が粟立つ感動を覚えた。過去がフラッシュバックするシーンの秀抜さは、瞬きもできず、身震いするほどだと感じた人も多いのではないだろうか。

 イントロでも描写されている、物語のキーとなっていそうなブドウのイラストと、ソンハンがワインを飲むのをやめた理由など、考察も楽しめそうな内容で、第3話が待ち遠しい。これからの展開が楽しみなストーリーと魅力的なキャラクターの誕生を嬉しく思いながら、次話を心待ちにしている。

■配信情報
『離婚専門弁護士シン・ソンハン』
Netflixにて配信中
(写真はJTBC公式サイトより)

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