『夕暮れに、手をつなぐ』監督が語る特別なワンカット 広瀬すず×永瀬廉の空気感を大切に

『夕暮れに、手をつなぐ』金井紘インタビュー

ヨルシカなど音楽へのこだわり

――監督が感じた広瀬すずさんや永瀬廉さんの撮影に対する姿勢はどうですか?

金井:二人とも役へのアプローチや現場に入る気持ちがまったく違いますね。広瀬さんは、空豆だからだと思うんですけど、すごく動物的なところが天才だなと思っていて、驚かされることが多いです。同じ脚本、セリフでも相手のお芝居が変わったり、天気が変わったり、ロケ場所のシチュエーションが変わっていくと、出てくるものが毎回違うんですよ。それが本当にその場に沿ぐうものを瞬間的に捉えて表現するので、天才的だなと思っています。だから、その感覚を邪魔しないような演出を心がけて、瞬間的に出るものを大事に切り取りたいなと思っています。永瀬さんは、いろいろなことをちゃんと準備して、頭で処理してから表現するタイプなのかなと。これは音がそういう人だからだと思うので、話し合いながらやってます。こちらの言葉を理解して処理するスピードとか、その感性がすごくて、彼がクレバーかつ謙虚に、ポジティブに現場で表現しようと思ってくれているのかなと感じます。

――作品を観ていて、北川さん、広瀬さん、永瀬さんの過去作を彷彿させるようなシーンがあるように感じます。広瀬さんが絵を描いているシーンは『なつぞら』(NHK総合)や北川さん脚本の『半分、青い。』、縁側のシーンは永瀬さんが出演した『おかえりモネ』(NHK総合)、第1話にも『ロングバケーション』(フジテレビ系)のようなシーンもありました。そういった過去作への目配せは意識的にされているんでしょうか?

金井:演出的に参考にしているというより、北川さんがきっと観ているお客さんに対してサービスで盛り込んでくださっているのかなと思っています。そこは演出的にも準じて、プラスアルファで楽しんでいただけるような仕込みはしています。僕はKing & Princeのミュージックビデオを死ぬほど観て、永瀬さんの表情とか、このアングルの横顔が素敵だなぁとか、めちゃめちゃ勉強しました。それで子どもと一緒にKing & Princeの曲をすごく覚えました(笑)。

――キャラクターの映し方で、響子さん(夏木マリ)の中高年世代のパワフルさ、空豆と音とたちの虚無感の対比が面白いなと思っています。この辺りで意識されていることはありますか?

金井:北川先生が当て書きをされている部分もあるので、演じる皆さんが本来的に持っているものとキャラクターの重なる部分がすごく大事になってくるんじゃないかなと思っています。例えば、音くんだと、永瀬さんの持つ優しさとか、ちょっとシャイな部分が音というフィルターを通してすごく素敵になったりするので、そこがどこなのかというのは見極めるようにしていますね。

――ヨルシカの音楽の入れ方もすごく絶妙ですよね。

金井:北川さんの過去の作品も音楽にこだわられているんですよね。架空の音楽ではなくて、今作だとヨルシカさんとか、シュガー・ベイブさんの曲を響子さんが聞いています。音楽って視聴者とドラマのブリッジになると思っていて。視聴者での世界でも、ヨルシカとシュガー・ベイブが存在するし、こんな曲を聴いてるんだなっていうのが、セリフではなくて耳で共存して、世界がつながる感覚というか。セリフが何もなくても音楽を聞いているだけのシークエンスを存分に使って、主題歌の「アルジャーノン」を聴いているシーンなど、音楽で表現できるものはすごく意識しています。

――バックで音楽がかかっているだけだと思ったら、広瀬さんが口ずさんで重ねるシーンも素敵でした。

金井:ありがとうございます。第2話だと「なごり雪」を歌ったりしていましたが、例えば、今、このラブストーリー観ている若い世代の方には、響子さんが歌う「なごり雪」とかちょっと懐かしく感じる曲を新しく聞いてもらいたいなと思っていて。逆に年配の方にはヨルシカとか、現代の音楽を聞いていただきたい。響子さん、空豆、音たちの音楽を通じて、視聴者の世代感の橋渡しになったらいいなと思ってかけるようにしています。

――最後に、今後の見どころを教えてください。

金井:後半は2人が夢を見つけて、夢を追いかける話でもあって、それがどういう結末を迎えるのか。その中で第1話からずっと描いている2人の距離感、2人の恋愛のストーリーがどういう結末を迎えるのか……。皆さんが納得いくラストが待っていると思います。その準備はできていますので、ぜひ楽しみにしていただけたらなと思います。

■放送情報
火曜ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:広瀬すず、永瀬廉(King & Prince)、川上洋平([Alexandros])、松本若菜、田辺桃子、黒羽麻璃央、伊原六花、内田理央、櫻井海音、茅島成美、酒向芳、遠藤憲一、夏木マリ
脚本:北川悦吏子
演出:金井紘、山内大典(共同テレビジョン)、淵上正人(共同テレビジョン)
プロデューサー:植田博樹、関川友理、橋本芙美(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
編成:三浦萌
制作協力:共同テレビジョン
製作著作:TBS
©︎TBS
公式Twitter:@yugure_tbs
公式Instagram:yugure_tbs
公式TikTok:@yugure_tbs

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