『夕暮れに、手をつなぐ』空豆と音が繋いだ手に同居する温かさと切なさ 約束が空虚に響く

『夕暮れに、手をつなぐ』空豆と音に漂う別れ

 『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)第7話では、音(永瀬廉)のユニット「ビート・パー・ミニット(BPM)」のデビュー曲「きっと泣く」がヒットの兆しを見せる。ボーカルはセイラ(田辺桃子)。音にとっての歌姫であり、空豆(広瀬すず)にとってのミューズとなる人物だ。

 コンポーザーとしての音のサウンドに、セイラの泣きたくなるような「曇りのような」歌声、空豆の幻のようなおはじきのドレス、まずはセイラだけで顔出しをしていくという磯部真紀子(松本若菜)のプロモーション戦略が功を奏して、「きっと泣く」のMVは瞬く間に700万回再生を突破。その反響を受けて、A&R(音楽業界でアーティストの才能を発掘する仕事)である磯部はセイラに保育園を辞めることを、そして音にマンションに引っ越すことを提案する。

 「この世界で生き残りたい。一生音楽で食べていきたい」と誓っていた音は、セイラと『紅白』を夢見られるほどのアーティストとしての勢いを手に入れた。しかし、その代わりに失おうとしているのが、雪平邸で空豆と無邪気にはしゃぎ回っていたなんでもない日常だった。

 高級有名ブランド・アンダーソニアの久遠(遠藤憲一)も圧倒するほどに、ファッションデザイナーとしての才能を発揮している空豆は、これからも同じ東京で暮らしていくだろう。空豆の声と笑顔に救われたセイラとのお互いを思い合う関係性はきっと続いていくし、『紅白』の衣装を担当するなんて絵空事も現実のものとなるかもしれない。けれど、ドラマに流れているのはどうしようもない別れの予感だ。

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