『夕暮れに、手をつなぐ』監督が語る特別なワンカット 広瀬すず×永瀬廉の空気感を大切に

『夕暮れに、手をつなぐ』金井紘インタビュー

 『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)の第7話で、“夕暮れに、手をつないだ”空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)。音が出ていってしまうことによって、二人には物理的な距離が生まれてしまう。音が空豆を背負って歩いたあの日から、縁側で隣に座って笑い合った日々、みんなといるときの二人の目線……ここまで絶妙に描かれてきた二人の距離感は、ゆっくりと変わってしまうのだろうか。

 音が空豆のこの“空気感”はどのように演出されているのだろうか。これまでも数々の恋愛ドラマを手がけてきた金井紘監督に、北川悦吏子脚本を演出する面白さについて話を聞いた。

ラブストーリーで大事にしていること

――金井監督はこれまで、『恋仲』『SUMMER NUDE』『好きな人がいること』など、フジテレビ月9の恋愛ドラマも手がけていますが、今回TBS火曜22時枠ということで意識したことがあれば教えてください。

金井紘(以下、金井):火曜22時枠の恋愛ドラマは、僕も素敵だなと思う作品が多かったので、ターゲットやどういうお客さんがご覧になっていてウケているのかをリサーチしていたんですけど、今回は「そこまで意識しなくていい」とTBSさんの方から言っていただいて。今回は枠というより、北川悦吏子さんの脚本で、広瀬すずさんと永瀬廉さんの2人のラブストーリーを世の中に届けるということで、今いただいている題材を、どう一番美味しくお客さんに届けるかということを意識しました。

――ラブストーリーを手がける上で大事にされていることはありますか?

金井:主人公2人のツーショットの並びが1番素敵になるようにしたいなと思っています。二人が並んだときに、観ている人の記憶に残っていただけるようなビジュアルをいつも大事にしています。

――今回、北川さんの脚本を監督していてどんな面白さを感じますか?

金井:はじめは、めちゃめちゃプレッシャーでした(笑)。でも、撮っているとやはりすごく楽しくて。ほんのちょっとしたさじ加減1つで、セリフやキャラクターの見え方が変わってくるので、その塩梅の難しさと面白さを感じながら演出しています。そのくらい繊細な本で、繊細なキャラクターなんだなと思います。

――本作での全体的な絵作りや演出面の方向性を教えてください。

金井:タイトルにもある「夕暮れ」という瞬間をどう美しく見せるかを、今回の演出のテーマにしています。作品全体に「夕暮れ」の色味や、あの時間に漂う、言葉にならない美しさを表現するために、1話ごとに1回、リアルな夕暮れ時に撮る時間帯を絞って撮影しています。衣装やメイクもそれに合うように選んで、ビジュアル全体に「夕暮れ」が漂うようにすることをチャレンジしています。

――金井さんが本作で考える“夕暮れ”のイメージはどんなものですか?

金井:1日に数十分しかない、美しくて儚い時間というか。例えばですけど、人生においても23歳の彼らが夢を追う時間とかって、終わりがあるからこそ輝いていて、それを“青春”と呼ぶのかもしれないなって。それは恋愛においても同じで、今しかない瞬間があって、全てにまたがるテーマなのかなと。

何年も残るような“北川ワールド”を

――ここまで撮影してきていて、特に気に入っている2人のシーンを教えてください。

金井:第3話の焚き火のシーンで、爽介(川上洋平)から空豆がプロポーズされたことに、音が「結婚おめでとう」と言うシーンがあるんですけど、その最後のカットが好きですね。焚き火をしながら、空豆が音をチラリと見て、音はその空豆を感じながらも見れない、その2人の良い空気感が出ているなと思いました。それをカメラマンの伊藤(麻樹)さんが自分のフォーカスで両方とも捉えていて、ワンカットで2人の関係性や、今思っていることが全部表現できていてすごく気に入ってます。あとは、第8話、第10話にもすごく素敵なカットがこれから出てきます。

――楽しみにしています。どこかトレンディドラマの印象が強い北川さんの脚本を現代に届ける上で工夫されていることはありますか?

金井:僕も北川さんの作品を観て育ってきて、北川さんの作品は、あるワンシーンとかがすごく強烈に残るなぁと思っています。僕が中高生時代に北川さんのドラマを観て感じた“ときめき”が今も残っているように、今観てくださった人の中に何年も残るような、そういうワンシーン、シチュエーションをお届けしたいなと。それが、いわゆる“北川ワールド”なんだろうなという解釈でやっています。

――たしかに何気ないワンシーンでも、空豆と音の空気感が伝わってくるような見せ方をされるなと感じます。撮影時にどんな工夫をされているんですか?

金井:あんまり段取りにならないようにしています。撮影現場で見ていて、お二人がキャラクターを充分に理解しているので、キャラクターがすごく生きているなと感じるんですよ。食事シーンの撮影で「長く回すので普通の日常みたいに食べてみて、こっちが切り取るから」ということを第5話とかでもやりました。ドラマで流す時間はひとときですけど、空豆や音たちはその裏で、本来的にはもっと生活をしているわけなので、その生活を覗き見る感じにしたいなと思ってやっています。

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