同じ味を堪能できる! 『とんでもスキルで異世界放浪メシ』が拡げたアニメの新たな可能性

『異世界放浪メシ』が拡げたアニメの可能性

 飯テロアニメとして注目を集めてきた『とんでもスキルで異世界放浪メシ』(以下、『異世界放浪メシ』)。古くは『美味しんぼ』から『幸腹グラフィティ』など、これまでも様々な飯テロアニメが放送されてきたが、『異世界放浪メシ』はそれらとはまた違った面白さを見せている。

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』ノンクレジットエンディング│内田雄馬「Happy-go-Journey」

 そもそも、同作はいきなり異世界に召喚され、“ネットスーパーで商品を購入できる”というある意味最も実用的なスキルを獲得した27歳の平凡なサラリーマン・向田剛志ことムコーダの物語。いわゆる異世界転生モノではあるが、ムコーダが戦闘するシーンはあまりない。従魔契約した伝説の魔獣・フェルが狩ってきた異世界の生き物をムコーダが料理して、それらにただただ舌鼓を打つシーンが大半だ。

 異世界モノ×ご飯モノの組み合わせは本作だけが持つオリジナル性というわけではない。本作が秀逸だったのは、ネットスーパーが購入してきた現実世界の調味料を使って料理するという点にある。それもただの調味料ではない。同作には協力企業として、イオンリテール、エバラ食品工業、花王、カゴメ、サントリーホールディングス、ハインツ日本、ロッテと大手食品メーカーが名を連ねているのだ。つまりはこれらの企業の商品を使用できるということ。作中は具体的な商品名こそ口にしないが、スーパーで見たことのあるパッケージの商品が次々と登場する。さらには、ムコーダがスキルのネットスーパーを発動した時、そのビジョンが明らかにイオンネットスーパーのそれと同じデザインをしていた。

CM|イオンネットスーパー

 従来であればアニメに協力企業がつくことはほとんどなく、『クレヨンしんちゃん』では度々登場する「イトーヨーカドー」をパロったデパート「サトーココノカドー」、『銀魂』では「ロイヤルホスト」をパロった「バトルロイヤルホスト」をはじめ、実在する店名や商品をそのまま使用することは基本的にない。しかし、『異世界放浪メシ』ではバンバン出てくる。見慣れた商品やサイトがアニメの中で描かれている光景は新鮮でありシュールだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アニメシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる