Webマンガ発のコメディ作品に外れなし? 空き時間に気軽に楽しめるアニメ3選

Webマンガ発のコメディアニメ3選

 「連載マンガといえば紙雑誌」というのはいまや昔の話。Webマンガが一般的な存在となった現在は『少年ジャンプ+』に『LINEマンガ』、『ピッコマ』『マガポケ』『pixivコミック』など、数えきれないほど存在するプラットフォーム上で毎日大量のオリジナル作品が配信されている。その中でも人気を得た作品がアニメ化されていくわけだが、特にコメディ作品のアニメ化が顕著だ。Webマンガは短い時間で気軽に読めるように1話ごとのカロリーが過多にならないことが重要であり、その特性がコメディ独特のテンポ感と相性がよく、名作が多く誕生しているのだろう。いま注目すべきWebマンガ原作のコメディアニメの中で、原作の空気感がよく表現されている現在放送中の2作品と、10月期で注目の1作品を紹介する。

『異世界おじさん』

 原作は、KADOKAWAの『ComicWalker』にて連載されている、殆ど死んでいるの同名漫画で、現在単行本は8巻まで刊行されている。

 本作は、フリーターをしていた主人公・たかふみの“おじさん”が異世界に転生し、そして現実世界に戻ってきたあとにたかふみと一つ屋根の下で暮らす日々を描く。「異世界転生もの」といえばファンタジー側の世界を舞台に話が進んでいく作品が一般的だが、本作では異世界の魔法のような能力を“使えてしまう”おじさんが、現実世界に適応していく過程が描かれる。そこで起こるズレが面白い。

TVアニメ『異世界おじさん』PV第2弾

 また、異世界転生する作品では一般的に、チートのような能力を手に入れ、苦楽を乗り越えつつ現実世界では叶えられなかった理想的な生活を満喫するのがお決まり。たかふみもそんな素敵な異世界生活の話をおじさんに期待するが、おじさんが魔法で映し出す異世界での記憶はいつも悲惨なものだった。それは異世界に転生して特殊能力は得たものの、決して褒められたビジュアルではないおじさんの容姿がそのままだったのが原因だ。そんなおじさんへたかふみが軽快に、しかし辛辣なツッコミを入れていく姿に笑ってしまう。

 たとえば第6話では、おじさんがタワシより安い値段で見世物小屋に売られたことがある、という経験を語る。おじさんはその独特なビジュアルから会話ができるオークだと冒険者に誤解されてしまったのだ。さらに牢に入れられた後、店主に存在を忘れられ死んでしまう寸前までいくが、精霊と会話ができたことにより、魔法を使用してなんとか脱出することができた。

 異世界での悲惨な体験自体はあまり気にしていないおじさんも、さすがに「タワシより安い値段で売られたことはショックだった」と落ち込んだ様子。たかふみのツッコミは、おじさんが辛い過去に向き合うための緩衝材のような役割を果たしているのかもしれない。

『組長娘と世話係』

 おじさんから一転、つきやによる原作が『コミックELMO』で連載中の、イケメンヤクザが主人公のアニメ『組長娘と世話係』は、桜樹組と呼ばれるヤクザの組長の7歳で小学1年生の娘・桜樹八重花を、桜樹組の若頭で主人公の霧島透が世話係をするハートフルコメディ。手を叩いて笑うようなコメディではなく、観ていると2人の暖かなやりとりにいつの間にか笑顔になってしまうような作品だ。

TVアニメ「組長娘と世話係」PV第2弾

 霧島が組長に八重花の世話係の仕事を任された当初、八重花は霧島のことを嫌がってはいないものの、心を開いていない様子であった。それでも霧島は、八重花の授業参観や花火大会に一緒に行ったり、口調を丁寧にしいたりと八重花と仲良くなろうと努力をする。そのおかげで八重花との関係が深まり、八重花がもっと霧島のことを知りたいと思ったり、霧島の好物であるチョコをたくさんいれたチョコケーキを作ったりと霧島のために行動をしている姿が描かれるようになる。クスッと笑えるような一幕も挟みつつ、八重花と霧島の和気あいあいとした日常のやり取りに思わず笑みがこぼれる。

 そんなほっこりする話でありつつも、霧島の天敵である真白悠莉が怪しい動きを見せている。後半からシリアスな展開になるのか。

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