『とんでもスキルで異世界放浪メシ』の影響で自炊も急増中? 現実と繋がる卓越した作画力

『異世界放浪メシ』の影響で自炊も急増中?

 現代人が異世界に行って、現代知識を使いながら無双する……。2023年の冬アニメはいつにも増して、そんな異世界ファンタジー作品が多く放送されている。小説投稿サイト『小説家になろう』発のライトノベルを原作とする作品が多いことに由来して、アニメファンからは“なろう系アニメ”と呼ばれるジャンルだ。

 異世界に勇者として召喚されるものから、一度死んで2度目の人生を子どもの姿でやり直すものまで、シリアス、コメディ含め色々なパターンがあり、ほとんどのバリエーションはこの数年間のアニメ化で出尽くしたかと思われたが、この異世界ネタにネット通販とグルメを組み込むという意表を突いたアイディアで現在話題になっているアニメが、『とんでもスキルで異世界放浪メシ』(以下、『異世界放浪メシ』)だ。

 アニメ『異世界放浪メシ』の原作は、前述の『小説家になろう』で連載され、現在オーバーラップノベルスから刊行中の同名ライトノベル。2023年1月現在、ラノベは13巻まで、コミカライズは9巻まで発売中。テレビアニメはアニメーションスタジオMAPPAが制作している。MAPPAといえば、数々の映画賞を受賞した劇場用アニメ『この世界の片隅に』(2016年)を筆頭に、『賭ケグルイ』(2017年)、『ゾンビランドサガ』(2018年)、『呪術廻戦』(2020年)といったヒット作を手がけてきたスタジオで、2022年も『チェンソーマン』で海外からも熱い注目を集めたばかり。アニメファンなら名前を聞いただけでピンと来る、実力派のアニメスタジオである。

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』 PV第2弾

 ある日、いきなり異世界に召喚された27歳の平凡なサラリーマン、ムコーダこと向田剛志には、ネットスーパーという妙なスキルが与えられていた。目の前に浮き出た通販サイトの画面に異世界の通貨を投入すると、日本のネットスーパーの食品が異世界側に出現するというもの。もともと料理好きだったムコーダは、ネットスーパーから購入した食材や調理器具で様々なお手軽料理を作っては、異世界の冒険者に喜ばれたり、神界の女神たちを食の虜にしてゆく。

 このアニメがユニークな点は、スーパーマーケット企業イオンリテール協力のもと、イオンネットスーパーの注文画面と同じデザインが作中に現れる点だ。またムコーダが取り寄せる商品も、エバラ焼肉のたれ、サントリーのミネラルウォーターなど実在する物ばかり。もちろんエバラ食品工業とサントリーホールディングスのほか、様々な企業が協力企業としてクレジットされている。Twitterではイオンネットスーパーやエバラ食品の公式アカウントが、『異世界放浪メシ』をきっかけに、自社のPRをしたり、自社製品の反響に喜んだりで、良い感じでアニメとリンクしているのが見て取れる。まさに本編同様、アニメと現実とが繋がっているのだ。

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