“トラックに轢かれた”はもう古い? 2023年冬アニメ、異世界転生主人公の死を検証

異世界転生主人公の死を検証

 2023年冬クールのアニメが大体出揃ってきました。現時点で感じられる今期の特徴は「例年の冬クールに比べて作品数が多い」「TS要素が目立つ」「3DCGアニメがそれぞれに見応えあり」などなど……しかし多くの人が感じているのはやはりこれでしょう。「なろう発のアニメが多い」!

 なろう発アニメとは、小説投稿サイト「小説家になろう!」から生まれた作品を原作とするもの。数えてみると確かに多く、2023年は冬クールは新作だけで10本、続編や2クールものも含めると16本放送中です。2022年は年間通じて23本だったことを考えると、今期の多さは歴然でしょう(ちなみになろう発アニメ、今年で初作品から10周年を迎えます)。

2023年は“なろう発アニメ”10周年イヤー! 最初の作品&初心者オススメ作品は?

小説投稿サイト・小説家になろうから生まれた作品を原作とするアニメ(本稿では「なろう発アニメ」とします)。その最初の作品を問われて…

 このなろう発アニメ大豊作時代を迎えてふと思ったのが「最近はどんな理由で死んでるんだろう?」ということ。ほら、なろう発アニメ=異世界転生=主人公は現世でトラックに轢かれて死ぬ、というイメージがあるじゃないですか? 我ながらややレトロなイメージかなと思いつつ、冬クールにおけるなろう発アニメの主人公がどんなふうに転生したのかを調べてみました。

2023年冬クール、主人公がトラックに轢かれたのはなんと……

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 なんと今クールの異世界転生ものの新作で、主人公がトラックに轢かれて死亡したケースは0件。かろうじて2022年秋クールに始まった『陰の実力者になりたくて!』が、パロディ色の強い作品らしく、トラックに轢かれて主人公が死亡して異世界転生を果たします。

TVアニメ『陰の実力者になりたくて!』ノンクレジットオープニング:OxT「HIGHEST」

 意外だったのが、異世界に移動しない作品や/転生や転移をしない作品が7本あったこと。主人公は元々ファンタジー世界の住人というアニメが多いのです。もしかしたら、なろうではもう「現実世界で死んで異世界に転生する」という設定は絶対的なマジョリティではないのかもしれません。今回調べたアニメでも、『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』は転生どころか異世界が舞台でもない、普通のラブコメでした。

 ちなみに今期はなろう以外にもファンタジー世界が舞台のアニメが多いですが、これらもトラックとの衝突はなし。『便利屋斎藤さん、異世界に行く』はアニメ内で転生時の話が今のところなく、『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』は現実世界の高校生ふたりが乙女ゲーム世界の“神”として実況するという、かなり特殊なケースです。

TVアニメ「犬になったら好きな人に拾われた。」第1弾PV

 なお、『犬になったら好きな人に拾われた。』では、主人公の犬(元は男子高校生)が「犬になった記憶の前後がない」と語っていました。そのため、今後トラックで轢かれた過去の回想が入る可能性もゼロではありません。と言っても舞台が現実世界なので“異世界転生”とはなりませんけど。

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