『舞いあがれ!』“推し”をビジネスにする難しさ 朝ドラ主人公・百音&暢子と舞の共通点

『舞いあがれ!』舞のビジネスの糸口は?

 2015年夏、東大阪の町工場の技術を生かした商品開発を行うIWAKURAの新子会社が“離陸”した。『舞いあがれ!』(NHK総合)第23週が幕を開け、舞(福原遥)が社長に就任後初の仕事に取りかかる。

 五島弁で「おいで」を意味する“こんね”と、英語で「つなげる」を意味する“connect”を合わせた「こんねくと」。祥子(高畑淳子)から起業祝いで送られてきたメジナと、大樹(中須翔真)の「英語にしたらかっこええんちゃう?」という提案から思いついた社名だ。

 会社を立ちあげた大元のきっかけは、住民からの苦情。次々と閉鎖する工場の跡地に住居が作られるようになり、残った工場から出る騒音に住民から苦情が寄せられるようになったのだ。そこで、各工場がどんな仕事をしているのかを知ってもらえば、「うるさい」と感じる住民の不快感も減るのでは?と考えた舞。大学時代に所属していた人力飛行機サークル「なにわバードマン」の先輩たちの力も借りながら、舞は町工場の人たちと住民がものづくりの見学や体験ができるオープンファクトリーを成功させた。

 だが、そもそも住民から苦情が出るようになった経緯を辿れば、多くの工場が閉鎖しているという現実に行き当たる。実際、金網工場の社長である小堺(三谷昌登)もオープンファクトリーに参加したい気持ちはあったが、著しい受注の減少で経営が大きく傾き、それどころではなかった。そんな小堺に、舞は金網の製造を活かした新たな商品づくりに挑戦しないかと提案する。オープンファクトリーの開催に向け、各工場で作った部品を合わせて模型飛行機を完成させた舞には、東大阪の町工場が誇る技術には無限の可能性があるという確信があった。そんな舞を、小堺の会社をピンチから救った成功体験が後押しする。

 一つの工場の閉鎖は他人事じゃない。東大阪にある全ての町工場が生き残れる方法を見つけるため、舞は「こんねくと」を立ち上げた。舞を見ていると、人生に無駄なことなど一つもないと思い知らされる。舞の経験してきたことはどれも今に活かされているし、様々な経験を通した出会いが彼女を突き動かす燃料となってくれる。社名もしかり、最初の仕事もしかり。

 自分たちの未来を背負う舞に、町工場の人たちは非常に協力的。工場で作った家具やインテリアを事務所に送ってくれたり、何とか仕事を作れないか一緒に考えてくれたり。最初の仕事も、金属加工の2代目社長・的場(杉森大祐)が商品開発に興味を持つ知り合いの社長を紹介してくれたことで舞い込んだ。

 翌日、的場と一緒に「こんねくと」の事務所を訪れた仙波(森下じんせい)という社長の会社は、建築資材やスピーカーのカバーなどに使われる穴あけ加工を施した金属板「パンチングメタル」を製造している。また、金属板にさらに細かい穴を開けて、一つの絵を浮かび上がらせるデザインパンチングという特殊な技術を持っており、舞と御園(山口紗弥加)はそれを活かした新商品のアイデアを練ることになった。ただ打ち合わせの間、仙波が「ほんまにこの会社、大丈夫なんか?」と終始心配そうな顔をしていたのが印象的だ。

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