『舞いあがれ!』“推し”をビジネスにする難しさ 朝ドラ主人公・百音&暢子と舞の共通点

『舞いあがれ!』舞のビジネスの糸口は?

 舞のことをすでに知ってくれている人ならまだしも、実績のない自分たちの会社を信用してもらい、契約を結ぶにはそれなりの商品アイデアとそれが必ず売れると確信できる、説得力のあるビジネスプランを相手に示すことが必要となる。今回会社を立ち上げるにあたり、舞は共同経営者である御園と半分ずつ資本金を出し合い、銀行からも融資を受けた。創業支援金という創業から3年以内に返さなければいけないお金も借りているし、御園にも給料を払わなければならない。時代の変化に伴って、廃業の危機に晒される東大阪の町工場存続のために立ち上げた会社ではあるが、自分たちもまたその危機と隣り合わせなのだ。

 近年放送された朝ドラのヒロインも舞と同じような課題にぶつかった。例えば、『おかえりモネ』(NHK総合)の百音(清原果耶)は気象予報士として東京で経験を積んだ後、「地元のために何かしたい」と故郷である宮城県気仙沼に帰ってきたが、一度地元を離れた彼女に周囲の人々が向ける視線は想像以上に冷めていた。そんな現状を打破したのが、百音のしぶとさだ。どんなに相手が聞く耳を持ってくれなくとも、何度も足を運び、気象予報を活かした重要性を説いた百音。そして少しずつ仕事を獲得し、信用を一つひとつ積み重ねていった。

 一方、『ちむどんどん』(NHK総合)の暢子(黒島結菜)はレストランで修行したのちに独立。地元・沖縄の郷土料理を振る舞う食堂をオープンさせるも、なかなか客足が伸びず、一度はお店を閉めることになってしまう。営業再開の糸口になったのは、 店の看板メニューである沖縄そばの味の見直し。沖縄料理に適した美味しい豚肉を調達したことで、これまでお客さんが感じていた“物足りなさ”を埋めた。

 百音は気象予報、暢子は沖縄料理、そして舞は町工場の技術。彼女たちにはそれぞれ、その良さを伝えたくて仕方がないものがある。でも、ただの“推し活”ではない。彼女たちはそれをビジネスにしたのだ。思いの強さだけではやっていけないし、ちゃんとお金を稼げるシステムを作る必要がある。

『ちむどんどん』料理を提供し続けた半年間 黒島結菜の新たな旅路に幸多からんことを

12年間暮らした東京や鶴見を離れ、家族とともに生まれ育ったやんばるに移住することを決めた暢子(黒島結菜)。『ちむどんどん』(NH…

 舞と御園はデザインパンチングを活かしたランプを考案。仙波と無事に契約を結ぶことができたが、ランプのような照明器具については細かい規定があり、商品の設計から加工までを請け負える専門の業者が必要だという。そこでまた的場や仙波の知り合いである板金屋の我妻(久保田磨希)に舞たちは協力を要請するも、「あかん! うちはやらへんで」と一蹴されてしまった。果たして、舞はどんな解決の糸口を見つけるのだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
2022年10月3日(月)から 2023年4月1日(土)まで
総合:8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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